在宅医療とは、医師や看護師などの医療関係者が患者の「生活の場」へ出向き医療
を行うことをいいます。
昭和の時代の生活の場といえば、ほぼ自宅を意味していましたが、現代では特別養
護老人ホームや有料老人ホーム、グループホームなど生活の場も多様化していま
す。そのように変化した背景には、少子高齢化や核家族化、夫婦共稼ぎなどの社会
環境の変化によるところが大きいでしょう。
もしも、おじいさんが『わしゃ、自分ちの畳の上で死にたい。』といっても、支え
てくれる家族やご近所さんがいないため実現できないことがほとんどです。
そこで、家族やご近所さんに代わって日常的な世話をしてくれる施設へ入居して、
そこを生活の場とするようになってきました。
介護支援の現場では、生活の場を「在宅」と「施設」と区分しておりますが、前述
の状況がさらに進んできていて、「在宅=施設」となりつつあり、「在宅=自宅」
は過去の産物になってきている印象を受けます。
仕事柄、「在宅」か「施設」かをご利用者やそのご家族に選んでいただく場面によ
く遭遇しますが、心の中では、『在宅か施設かという選択肢は、どちらを選んでも
施設入所という結果になっており、もはや選択肢としての体は成していないのでは
ないか。』と思うことがあります。
むろん、施設への入居を否定しているわけではありません。今は施設といっても、
多種多様なニーズにお応えする様々なタイプの施設がありますので、その選択が最
適の場合も多いでしょう。
私が言いたいことは、「在宅、施設=施設」という現状を踏まえると、「自宅」と
「施設」の方が選択肢としての体は成しているのではないかということです。
しかし、「自宅」という選択肢は、前述のとおり社会環境の変化で、実現するには
非常に高いハードルがあります。
その実現には、「在宅医療」、「在宅介護」、「社会環境」という社会資源が地域
単位で十分に機能することが必須となるでしょう。
明日は、その中の「在宅医療」について書いてみたいと思います。