在宅介護の現場では、専門職が介護に携わるご家族に対して、よりより介護を実践
できるように、そして介護負担の軽減が図れることを目的として、指導や助言を
行うことがある。
こうした指導や助言は日常的に行われることで、ご家族は介護への知識や技術を
高めることへとつながり、在宅介護がより円滑に実践できることへ役立つ。
ところが、こうした指導や助言があらぬ方向へ行ってしまうことがままある。
専門職から「あの家族はこちらが伝えた通りにやらないので困る。」とか「支援の
内容が不完全だ。やる気があるのだろうか。」などの発言が漏れ聞こえることは
珍しくない。
経済的な事情、精神的な状況、就労や家事、育児、他の要介護者への対応、自身の
病気へのケアなど挙げればきりはないが、ご家族は様々な事情を抱えながら精一杯
できる限りの介護を行っている。
にもかかわらず、なまじ知識や技術、経験があるからといって、そうしたご家族の
事情を十分には理解せずに『欠点を論う』専門職があまりにも多い。
介護負担の軽減を図るために行っているはずの指導や助言が、ご家族にとって
精神的な負担になってしまっては本末転倒である。
勿論、
客観的に見たときに、「ご家族がもう少し介護にかかわれるのではないか。」と
判断できることも少なくはない。
ただ、その時に専門職に求められることは、『欠点を論う』ことではなく、ご家族
の心と体が安堵できる『拠り所』を作ることである。
そういった専門職が、いざ自分自身が家族介護者となると、「あのときは、ご家族
に対していろいろ言ってきたが、自分が同じ立場になったときに何て無茶なことを
言っていたのだろうかと反省する。」といった発言が出る。
皆さん、「ご家族は頑張ってるんだよ。もっと共感しようよ。」