ここのところ連日のように『PCR検査』という言葉を耳にするが、この検査件数や
検査対象の拡大の有無が議論となっている。
この議論は、『予防医学』の考え方をどのようにとらえるかによって変わってくる
が、改めて思うことは我が国の予防医学の考え方には1次予防が欠落していると
いうことである。
1次予防とは、健康な状態から健康異常へ陥らないようにリスクを回避することで
2次予防とは、健康異常を早期発見して早期に治療し、完治を目指すことである。
我が国のPCR検査の人口当たりの実施件数が諸外国と比較して少ないのは、2次
予防を重視して、1次予防を軽視しているからに他ならない。
健康異常が発生してから、どのように対処するかという思考が先立つため、健康
異常の発生リスクの高い人のみを対象として検査している。今でこそ、真似るべき
との議論が持ち上がっているが、感染症発生当初は隣国の『ドライブスルー検査』
を子馬鹿にしていた人が多かったように思う。
私たちの日ごろの仕事に直結する『介護予防』についても同様のことがいえる。
市区町村による介護予防の取り組みは、数十年前から多額の予算を組んで行われて
いるが、一次予防の有効性を評価する指標の『罹患率』は下がったためしがない。
当ブログの『介護予防短期集中プログラムの愚』でも取り上げた通り、結果が出
ないことに多くの時間と労力と予算をつぎ込んでおり、未だに続けている有様だ。
この度の新型コロナウイルス感染を一つの教訓として、予防医学における1次予防
の重要性に目を向けるべきではないかと思う。