先日、当方のケアプランセンターで担当していたご利用者がお亡くなりになった。
癌の末期で自宅療養されていた方であるが、数日前までは自力で歩いてトイレまで
行くことができていた。
ところが、週末に病状が急変して、車いすや特殊寝台(電動ベッド)がなければ、
日常生活を営むことが難しい状態となっていた。
主治医との話し合いで、急遽車いす等の福祉用具の利用を調整することになった
が、このご利用者は『要介護1』という軽度の認定結果を受けていた。
そのため、通常の手続き以上の手続きを行わなければならない状況にあった。
そんな矢先にご利用者がお亡くなりになってしまったため、手続きが後手に回る
ことになってしまった。
これは偏に、担当ケアマネジャーの見込みの甘さである。
当ブログの『ターミナル期のケアマネジメント』でも取り上げた通り、
いわゆる『ターミナル期』の対応においては、在宅のケアマネージャーの役割や
提供すべき情報が通常と若干異なることが多い。
介護保険制度上、ケアプランの作成者はケアマネージャーであるが、日々刻々と
病状や状態が変化する中においては、頻繁にアセスメントしてケアプランを修正
していても、事が間に合わない場合が多い。
こうした状況において重要なことは、
①医療従事者との情報連携を密にとる。
②予測されるリスクをご利用者やご家族へ丁寧に伝える。
③そして何より、『後回しにしない』ことである。
通常のケアマネジメントでも重要とされていることではあるが、そのスピード感が
通常と全く違う。
日々、刻一刻と状態が変化していく中では、月単位でのんびり構えていると、
とんでもない損害をご利用者やご家族へ与えてしまうことにもなりかねない。
幸いにも今回は、ご家族へ損害を与えずにことを済ませることができた。
ご利用者やご家族には申し訳ない言い方かもしれないが、担当したケアマネジャー
もいい勉強になったことだろう。
それにしても、『ターミナル期にある方々の要介護認定のあり方』について行政も
もう少し学習したほうが良いように思う。
認定調査を行った数日や数週間後には、自力で歩くことが難しくなっていることが
あらかじめ予想されているにもかかわらず、平気で『要支援』の認定結果を出して
くる。
認定調査を行ってから認定の結果が下りるまで数週間かかることから、結果が出た
ころには、車いすや特殊寝台(電動ベッド)が必要な状態となっている。
そのため、間髪入れずに『認定区分の変更申請』を行うこととなるが、ご利用者は
その間にお亡くなりになってしまって、所定の手続きができずじまいになってしま
うこともたびたびある。
ターミナル期とそうではない状態とでは、考え方を変えていかなければならない
ことをケアマネジャーも行政も学習したほうが良い。