北海道江別市でケアプランセンター、小規模多機能ホーム、デイサービス、訪問看護ステーションを運営するみのりの丘グループ

みのりの丘

みのりの丘代表ブログ

相談援助の専門職

2020.8.4

「この人はさすがプロだなぁ」と思えるケアマネジャーに出会えることは非常に

稀な気がする。

 

ケアマネジャーは平成12年(2000年)に制度化されて生まれた資格で、歴史

が浅く技術面において体系化されていないところが多分にある。

また、国が定めた資格を持ち、一定の実務経験があれば受験資格を与えられ、合格

すると僅か1週間程度の研修を受けると資格が付与される。たとえケアマネジャー

として必要不可欠な相談援助にかかる実務経験や専門的な知識がなくてもだ。

 

例えるなら、診療の知識や技術を持たない者に医師免許を与えるようなもので、

今更ながら、考えただけでゾッとするような制度設計となっている。

 

とりわけ、ケアマネジャーの力量の差を感じるのは、「ご利用者やご家族が明確な

意向を示さない(示せない)」場面に遭遇した時である。

在宅のケアマネジャーに与えられる介護報酬は、ご利用者が介護サービスをご利用

して初めて発生する。そのため、多くのケアマネジャーは介護報酬を得るために

介護サービスの調整に必死となり、いろいろと提案をする。

しかし、ご利用者やご家族から「特に必要としていない。今はまだいらない。」

などと言われてしまうとお手上げ状態になってしまう。

 

タチの悪いケアマネジャーは、その時点で相談援助を終了してしまい、ご利用者側

から介護サービス利用の意向があるまではほったらかし状態にしてしまう。

何時しか、ケアマネジメントの目的が『ご利用者やご家族にとってより良い生活を

支援する』ことから、『介護サービスを調整する』ことに代わってしまっている。

 

相談援助の原則は、クライアント(相談者)にありのままの感情を表出させてあげ

ることであり、その感情を善悪なしに受容することから始まる。

会って間もない人から「デイサービスやヘルパーを利用しましょう!」などと不躾

な物言いをされるとそこでご利用者との信頼関係の構築が終わってしまう。

たまたま介護サービスの利用に結びつく場合は、ご利用者側に初めからそういった

意向があったからに過ぎず、ケアマネジャーの力量によるものではない。

 

ご利用者やご家族の思いに寄り添いもせずに、勝手にカテゴライズして、得意の

介護サービスを提案・調整するだけなら、専門職ではなくてもできる。

相談援助の知識や技術を深めた方が良いケアマネジャーが多くいるように思う。

 

この制度設計では資格取得と同時に一定の知識や技術を持つことは非常に厳しい

ところがあるので、個々人が実務につきながら学んでいく姿勢に期待したい。