幼いころは、他人から物をもらった時に
「食べてもいいよ」と両親から許可が出るまで、「ジーッと」もらった物と
にらめっこをしているような子供だった。
いわゆる『指示待ち』をしていた。
経験値を増やす中で、自分で判断することも増えて、一々両親の断りがなくても
行動につなげることはできるようになる。
しかし、新しいステージに上る度に同じようなことが起きる。
例えば、進学や就職、結婚、出産、介護などなど、未経験の新たなステージに身を
置いた時、多くの人は困惑し、どのような行動を取ったらよいのかわからなくなる
のではなかろうか。
そういった時には、すでに経験している兄弟や両親、先輩、教師、上司などから
教えをいただいて経験値を増やしていく。(最近はインターネットで色々と調べ
られるから便利な世の中になったもんだ)
そして自己判断ができることが増え、やがては経験の浅い後輩に教える立場に身を
置くことになる。
ところが、
どれだけ経験を積み重ねても、自己判断できることが増えない『指示待ちさん』が
世の中にはたくさんいて、身近にも多くいる。
そういった人たちは、なぜ自己判断できることが増えないのか考えてみた。
まずは、病気や障害に起因する『器質的問題』がある。
この場合は、治療やリハビリテーション、トレーニングなどによって判断力の維持
向上を目指すことになるだろう。
しかし、見た目では障害と見分けがつかず、自覚が薄いことも多いため、治療等に
結びつきにくいことがある。
それから、育った環境や過去の出来事などに起因する『気質の問題』である。
性格上の問題と言い換えることもできるが、強いトラウマなど治療を要する場合も
あり、軽んじてはいけないこともある。
そして、一番扱いの難しさを感じるのは、『極度に自己防衛本能が強い』場合では
ないかと思う。
こういった人は、自分の正当性を主張したり責任は自分ではなく他人にあると
いったことを周囲に知らしめることで自分を守る傾向があるため、判断能力を有し
ていても、意図的に自己判断をせずに指示待ちをしてしまう。
結果がうまくいかなかった場合には、「指示がなかった。」とか「指示が正確では
なかった。」と言って、指示者側に責任を転嫁して自分に火の粉が降りかからない
ように努めるのである。
判断能力があり、実務経験や年齢を重ね、教えを請いたい後輩が身近にいてもなお
『指示待ちさん』を続ける方々の取り扱いは難しい。