ケアマネジメントの現場において『医療と介護・福祉の連携が重要』と言われ続け
ている。そして、国の政策も手伝って、医療と介護現場間の情報の共有は格段に
進展してきている。
ただし、情報を共有することと連携することとは必ずしも同一のものではなく、
情報を持っていても上手く連携できないことがケアマネジャーの課題として指摘
されている。
一般的な医療機関には、医師のほかにコメディカル(看護師や薬剤師、リハビリ職
等)や相談援助職、事務職などがいる。そして、それらの方々は医学的な知識に
基づく『医療』という共通言語を用いてそれぞれの職務に従事している。
一方、ケアマネジャーは統計データによるばらつきはあるものの、半数以上が医療
機関で務めた経験がなく、その大半がコメディカル等の医療系の資格を持っていな
いといわれており、『医療』という言語になじみがないまま職務に従事しなければ
ならない方がいる。
例えるなら、外国へ移住する予定がなく、語学の習得を目指していなかった方が
急遽外国で生活しなければならなくなったような状況で、多くの方が言葉や文化の
壁に阻まれて思うように生活を営めなくなってしまうようなものである。
中には、知人や友人を積極的に増やすよう努めるなどして、早々に言葉や文化に
なじんでいく方もいることだろうが、キャラクターを拠り所とする点が多いため、
標準的とはいいがたい。
「生活は続けなければならない」でも「すぐに外国語を習得することも難しい」と
なった場合に多くの方が活用するのは『通訳』ではないかと思う。最近では、その
場で翻訳するアプリなどもあって利便性が格段に上がっている。
もはや、ドラえもんの道具が現実のものとなってきている。
介護現場において『医療』は、重要な言葉ではあっても標準語ではない。
ケアマネジャーにとっての『通訳』は誰なのかと考えた時に、それは訪問看護師で
はないかと思う。彼らは『医療』という言語を当然知っているし、『生活』という
介護現場の標準語にも精通しているバイリンガルである。
『医療と介護・福祉の連携』の推進には、ケアマネジャーが如何に通訳としての
訪問看護を上手に活用できるかにかかっているように思う。