長年、高齢者介護にかかわる仕事をしていると、「大変な仕事だね~」と声をかけ
られることが多い。
この「大変」という言葉には、『単純にねぎらい』の気持ちが込められていること
もあるが、嫌みではなく『人が進んでやりたがらないことをやってくれている』と
いう気持ちも込められているように思う。
事実、高齢者介護事業は『3K(きつい、きけん、きたない)』と呼ばれる仕事に
分類されていたこともあり、一般的にもそういったイメージが浸透している。
しかし、同業の人たちと話をしていると大体「この仕事って3Kかなぁ?」とか
「もっときついと思われる仕事はほかにいくらでもあるのに」とか「あえて言えば
1K(給料が安い)かなぁ」といった話題になる。
前述の1Kも国の政策によって大幅に改善されており、他業種と比較して見劣り
しないどころか、平均を上回る勢いを示し始めている。
ところで最近、盲導犬のテレビCMが話題になっているらしい。
映像では、盲導犬ユーザーが交差点で信号待ちをしていると、周囲からささやきが
聞こえてくる。「盲導犬ってたいへんそうだよね」「ストレス多そう」「かわいそ
う」。すると、盲導犬がそちらを向いて、「うんっ? 世間の誤解にほえさせても
らいますわ」「うちら、いつも一緒におんのが幸せ思てんのに、そんなん言われた
ら相方(ユーザー)も悲しむわ。どうか、そんな目で見んといてや。ほんま、お願
いしますわ」と犬がしゃべるという。
「盲導犬に対する何気ないひとことで、盲導犬ユーザーがつらく悲しい思いをして
いる」。その実情を知っていただきたいと、この企画が立ち上がったそうだ。
私は、高齢者介護の仕事はとても奥深くやりがいがあり、人生の大先輩との関わり
を通じて自分の将来を考え学ぶ機会がもらえて、給与所得が年々大幅に増える、
こんな素晴らしい仕事は他にないと思っている。
悪気のない偏見で業界で働く人たちが傷ついていることを知ってもらいたい。