先日、報道された
介護職で組織する労働組合「UAゼンセン日本介護クラフトユニオン(NCCU)」の
賃金の動向などを把握する最新の結果によると、月給で勤める介護職員の昨年の
平均年収は359万8000円だった。
厚生労働省の賃金構造基本統計調査によると、全産業の昨年の平均年収は463万
4900円。今回の介護職員との格差は103万6900円にのぼる。
との内容を見て思うこと。
当ブログの『平均値のマジック』でも取り上げた通り、「数字はうそをつかないが
使う人によって恣意的に事実がゆがめられる」ことがある。
『その業界の平均年収』と言われると、「その業界における多くの人がもらって
いる平均的な年収額で個人的に大きな差はない」と思うことだろう。
しかし、年収格差は業界によって大幅に異なる。
介護の業界においては、同じ業界あるいは同じ会社に所属する正規職員の年収格差
が10倍以上あるということはほとんどない。(役員が職員ではないことは全業界
で共通する)
他の業界の中には、同じ業界あるいは同じ会社に所属する正規職員の年収格差が
100倍以上あるということが、少数ではあっても存在する。
そのため、他の業界の中には、億単位の年収がある正規職員が平均値を大幅に上げ
るといった現象が起きるが、介護の業界には当てはまらない。
『平均額』は、「総額を頭数で割った数字」でしかなく、「多くの人がもらって
いる数字」ではない。
それでも、介護の業界の多くの人がもらっている年収額は359万円と近似値にある
と思われるが、他の業界の多くの人がもらっている年収額の近似値は463万円では
ないだろう。
つまりは、介護の業界とその他の業界との間には、多くの人がもらっている年収額
に大きな差はないと考えている。
『UAゼンセン日本介護クラフトユニオン(NCCU)』は、「介護職員の所得を少し
でも増やしたい」との思いから、情報を発表したこととは思うが、いたずらに業界
の年収が低い低いと自分たちを卑しめることは避けたほうが良い。
私に言わせれば「年収は低くないし、伸びしろが大いに期待できる職種」である。