前回の続き・・
「居宅介護支援事業の介護報酬算定基準の中に『特定事業所集中減算』という項目
があり、ご利用者を法人(会社)単位で囲い込んだり、特定の事業所とケアマネ
ジャーとの癒着を懸念してこのような対策が講じられた。」と述べた。
今回話題にしている減算を語るうえで「法人(会社)単位の囲い込みは悪」が前提
条件になっているが、果たして“悪”なのだろうか。
当方も運営している『小規模多機能型居宅介護事業』は、居宅介護支援事業所の
ケアマネジャーと通所介護、訪問介護、短期入所に相当する支援がワンセットと
なっており、かかわるのは同一法人に所属する同一事業所のスタッフである。
同事業を利用した場合には、他の通所介護や訪問介護、短期入所事業所のサービス
を受けることはできない決まりとなっている。
まさに囲い込みの最たるものである。
しかし、当ブログで何度も取り上げている通り、このワンセットがご利用者やご家
族へ多大なる恩恵をもたらすものであり、事実として国も同事業所数を増やそうと
様々な政策を立てている。
こうした矛盾への説明が全くなされないまま、今回話題にしている減算が独り歩き
している。
また、多様な介護サービスを運営していることに一種の信頼感を持っているご利用
者やご家族がいる。自分たちの諸事情が変化しても、利用慣れした法人(会社)の
サービスを引き続き受けることができる安心感から介護サービス事業所を選定する
事も少なくない。
そこには、煩わしい手続きを簡略化できるということにとどまらず、状況が変わっ
ても生活は続くことで求められる連動制が重要視される。さらに、ある種の情緒的
な結びつきを重要視するということもある。
「馴染み」は、生きていくうえで欠くことのできない重要な要素であることは言う
までもないであろう。
そして、来年4月の介護報酬改定では、「矛盾だらけで合理性が乏しい今回話題に
している減算の根拠となる数字を半年毎にご利用者やご家族へ説明せよ。」との
ことである。
何のために何を説明せよと言うのか。