先週、3年に1度見直しが行われ、今年の4月がその時期にあたる『介護報酬
改定』の見直し案が厚生労働省より公表されたことで、多くの介護事業経営者は
改定内容の読み込みと今後の運営方針の見直しを行っていることだろう。
私も必死に読み込んでいる。
改定内容の中には、首をかしげたくなるものが多く含まれてはいるが、いくつかの
項目については、「その通りだ。ようやく正しい方向へ進もうとしている。」と
思えるものもあった。
その一つは、(地域密着型)通所介護の入浴加算の見直しについてである。
今回の改定では、『利用者が自宅において、自身又は家族等の介助によって入浴を
行うことができるよう・・』という文言が改めて示されている。
介護保険制度の理念は『自立支援』なのだから、当たり前のことであり真新しい
言葉ではないはずであるが、多くのケアマネジャーや地域包括支援センターの職員
(以下、ケアマネ等という)は、担当のご利用者が自宅で入浴できているにも関わ
らず「本人や家族が希望しているから」という理由だけで通所サービス利用時に
入浴介助のサービスを求めてくる。
そういったオーダーに対して、通所サービス事業者側が「自宅で入浴できているの
であれば、サービス利用時に入浴しなくてもよいのではないか」などと言おうもの
なら、「融通の利かない事業所だ」と断罪されサービス調整を敬遠されてしまう。
そのため、事業所運営を継続するうえで必要なご利用者を紹介してもらえなくなる
ことを恐れた通所サービス事業者は、納得できなくても渋々ケアマネ等のオーダー
を受け入れて入浴サービスの提供を行うのである。
ケアマネ等は、この改定内容を「通所サービスのこと」と他人事のように思っては
いけない。「自分たちの入浴に関するアセスメントが否定されている」と思うべき
である。
また、入浴行為とは“ジャブン”と湯船に入ることだけではない。高齢者介護の生活
場面における入浴行為を考える場合には、浴室・浴槽を洗い、湯船にお湯をためる
ことができているのか。洗剤や着替えを準備することができているのかなど入浴前
後の行為も含めることを考慮しなければならない。
『湯船にお湯をためることができない=自宅で入浴できない』という高齢者が意外
と多くいる。
ケアマネ等が、入浴に関するアセスメントやサービス調整を見直す良いきっかけに
なってくれればと思う。