介護保険制度の理念である『自立支援』が、今回の介護報酬改定においても色濃く
示されている。
自立を阻害する要因と思われる「過度な支援や介入」に対して、報酬の減額や適正
を促す改定内容が目白押しとなっている。
その中でも、『リハビリテーション』の適正化が今回の改定の目玉となった。
一つには、明確なゴールを示さずに漫然とリハビリを続けている現状に対して、
「要支援の方々に対して、1年以上続けるのであれば、明確な理由やゴールを示し
なさい。できなければ報酬を減額する」というものである。
対象となる通所リハビリや訪問リハビリの事業者に対して、漫然とリハビリテー
ションを提供するのではなく、一定期間内に出口を定めてそこへ向かって取り組む
ことを求めた改定内容である。
これは言いかえると、「リハビリからの卒業を促す」ということだろう。
そういえば、遠い昔に当時のデイサービス(通所介護)に所属していた私は、同市
内の事業者との懇談の場で、デイケア(通所リハビリ)に所属する他法人の方に
「医療やリハビリニーズが高まればそちらへ、そのニーズが収まればうちへという
ようにご利用者がニーズに合わせてサービス種別を上手に使い分けできたら、限り
ある貴重な社会資源を有効に活用できると思う。」と話したことを思い出した。
話しかけた相手も私の意見に同調してはくれたものの、「とはいっても収益事業を
行っている以上は、他の法人へお客様であるご利用者を譲り渡すことを所属法人が
許すとは思えない。それにご利用者が移りたくないと言えばそれまでだろう。」と
答えてきた。
通所介護と通所リハビリの機能分化を図りたい国の意向は理解できるが、「減算」
というメッセージ程度では様々な障壁がありすぎて実現しないだろうと思う。
いっそのこと、病院のように急性期型医療機関、慢性期型・回復期医療機関、
緩和ケア型医療機関などのように明確なルールの下で機能分化した方がご利用され
る方々もわかりやすいのではないだろうかと思ったりする。