これまでの職業人生の中で、職場環境について、スタッフ間あるいはスタッフと
経営陣との間で、決まってよく取り上げられる話題があるように感じている。
その一つは、「もっと給料を上げてほしい。」、「もっと休みが欲しい。」という
ものであるが、これは従業者として当然の主張であり、一スタッフであった頃も
経営者となった今も異論をはさむ余地はないと考えている。
ただし、そのあとによく出てくる主張については、いささか違和感を覚えることが
ある。それは、「和気あいあいとした働きやすい職場の雰囲気が必要だ。」という
ものである。
たしかに、ギスギスとした不穏な空気感の中で職務に従事することは、無用なスト
レスを感じることにもつながるため、職場環境の改善が必要であろう。
まして、ハラスメントの横行などは断じてあってはならない。
しかし、先ほど取り上げた主張を『善』とした場合、目の前の業務に集中している
スタッフが、「昨日の〇〇のテレビ番組見た?」などと話しかけられたことに対し
て違和感や不快感を覚えれば、立ちどころに『悪』の扱いを受けてしまう。
はたして、目の前の業務に集中しているスタッフが『悪』で、雰囲気を良くしよう
と雑談を持ちかけるスタッフが『善』なのだろうか。
職場は、言うまでもないことであるが『雑談を楽しむ場』ではなく、『与えられた
職務に従事する場』である。
職場における雑談などの他愛もない話題は、職務を円滑に遂行する上で選択する
一つの手段にほかならない。
雑談を楽しむことをメインとしてしまうと、「もっと給料を上げてほしい。」、
「もっと休みが欲しい。」がどんどん遠のいていくように思う。