内部外部を問わず、訪問看護に従事する看護師から話を聞くと共通する話題をよく
耳にすることがある。
その一つは、「病棟に勤務していたころ、入院してきた患者さんが治療を終えて
自宅へ戻った後、どのような生活を過ごしているのか気になっていた。また、同じ
患者さんが再度入院してきた時には、自宅での療養が適切に行われていたのか
疑問に感じることがあった。」
そして、「訪問看護に携わることによって、そういった疑問を解消することができ
たし、自分たちに求められている役割はなんであるかを理解することができた。」
さらに、「そういった役割を深く理解したうえで従事するこの仕事に誇りとやり
がいを強く持つことができるし、面白い仕事だと思う。」
といった内容である。
病院へ入院することの主な目的は『治療』することである。
自宅にいることの主な目的は『生活』することである。
医学的知識や技術をもって、『生活』を支える行為に対して「面白い仕事」と表現
しているとのことであった。
治療に専念する入院中とは勝手が違うため、様々な工夫を要する場面に遭遇したり
治療と生活とを、ある種の天秤にかけながら優先順位を定めて、ご利用者やご家族
と話し合いながら生活基盤を整えていく作業は、やりごたえ満点と言ったところで
あろう。
また、入院中であればほとんどかかわることがない外部の事業者や近隣住民との
連携やかかわりは、知るほどに面白みが増すものである。
あるスタッフは、「主体的に利用者(患者)とかかわっているという実感を持つ
ことができる仕事だ」と言っていたことも印象深い。
『入院治療と在宅療養の連続性や連携がいかに大切であるか』をもっともよく知る
一人が訪問看護師であろうと思う。
こうした訪問看護師に救われた、疾患を持つ在宅生活する方々が数多くいること
だろう。
こんな魅力的な仕事が『従事したい仕事』の上位に来ないことの方がおかしいの
ではないかと思ったりする。