前回に引き続き、
『居宅介護支援費の有料化』は、事業者側から多くの異論が出ていて、その理由が
「ケアプランを有料化すれば、法制度の趣旨を度外視して都合よくサービスを使お
うとするご利用者やご家族が増え、いいなりとなる無能なケアマネも増加し、その
方がご利用者やご家族に選ばれやすくなる。」といったことについて物申したい。
「都合よくサービスを使う」とか「いいなりとなる人を好む」とか、ずいぶんと
ご利用者やご家族を馬鹿にした発想である。
アセスメントをしっかりした上で、丁寧な説明や適切な提案を行っていれば「都合
よくサービスを使う」という状況にはほとんどならない。
なぜなら、ご利用者側はどのように支援を受けることができるのか知らないから
結果的に「都合よくサービスを使う」という意向を示してしまうだけなのである。
また、ご利用者側にとって「都合のよいサービス」は、介護保険以外の社会資源で
ある場合もある。そういった社会資源の情報を常に収集しておいて、必要があれば
調整する。そういった社会資源がなければ自ら創造する。といったところまでマネ
ジメントしているのであれば「有能」と言えるかもしれないが、どれも中途半端に
しかやれていないケアマネが「自分は有能」と思っていたとすると・・・。
それと、「いいなりとなる人を好む」は本当だろうか。
例えば、ご利用者の自己負担が発生する訪問介護や通所介護といった介護サービス
の中で、法制度や社会的秩序を度外視して何でも受け入れてくれる事業所がご利用
者から持てはやされるかというとそうではないように思う。
やはり人気がある事業所は、コンプライアンスがしっかりしていて、かつ良質で
丁寧なサービスを提供してくれるところである。
そういった事業所は決まって説明や提案が丁寧であり適切である。
高齢者介護の業種に限らず、どれだけ懇切丁寧に説明しても無理難題をごり押し
してくるお客は極まれにではあるが存在する。
ただし、その極まれな存在を引き合いに出して『居宅介護支援費の有料化』に異論
を出しているとすると的外れ以外のなにものでもない。
利用料金(自己負担金)が同一である以上は、適切なケアマネジメントを行って
いるケアマネに相談援助をお願いしたいと考えることが自然である。
『居宅介護支援費の有料化』への異論を聞けば聞くほどに、「自分は無能です」と
言っているようにしか聞こえない。