『厚生労働省は13日、都道府県ごとに決める2021年度の地域別最低賃金の改定額を公表した。人口を加味した全国平均額は28円増の時給930円で、山形や島根など7県は国の中央最低賃金審議会(厚労相の諮問機関)が示した引き上げ目安額28円を1~4円上回った。残り40都道府県は目安額通りの改定。10月から適用する。目安制度が始まった1978年度以降で、最大の引き上げ幅となった。』
ちなみに北海道の最低賃金は“861円から889円へ”変更となった。
との報道を見て思うこと
労働者にとって、賃金が上がることは喜ばしいことだろう。
首都圏では1000円台を突破した地域もあり、初めて全ての都道府県で800円
台を突破した。
しかしこれ、単純に喜べることなのだろうか。
国内の99%は、中小零細企業である。
人件費が急激に上がる一方で新型コロナウイルスなどの影響を受けて、営業自粛や
縮小している事業者も数多くいらっしゃる。当然のことながら、売り上げが落ち
込むことになれば、倒産の危機が迫る死活問題になる。
そうなるわけにはいかないので、
中小零細企業の経営者の多くは、人件費を抑えつつ生産性を上げるために
①スキルの低い新規採用(新卒も含め)を控え、スキルを持つ者を重用
②ボランタリーな人材、安価に使えるスキルを持つ高齢者を採用
という思考を持つことだろうと思う。
その結果として、キャリアの少ない若者や資格を持たず学歴の低い者たちがあおり
を受け、求職にアドバンテージを持つ強者のみが勝ち組になってしまう。
野党の政治家が中心となって、「賃金格差の是正!最低賃金の大幅引き上げ!
雇用の拡大!低所得者の救済!」を声高らかに訴えているが少しずれている。
また、立場が弱いのは、労働者だけではない。
中小零細企業も決して強い立場にはない。
中小零細企業を追い込めば、自ずと労働者がダメージを受けることになる。
結果として、賃金格差はさらに広がり、低所得者はさらに冷遇される。
最低賃金を大幅に引き上げる場合には、中小零細企業の救済施策を同時に行わ
なければ片手落ちとなってしまう。
こんな単純なこともわからない政治家って・・・。