厚生労働省は31日、介護保険の運用の動向を明らかにする「事業状況報告」の最新版を公表した。それによると、2019年度の介護保険の費用額は10兆7812億円。前年度比で3493億円(3.3%)の増だった。
費用額から高齢者の自己負担分を除いた給付費は9兆9622億円。前年度比で3355億円(3.5%)の増となっている。費用額、給付費ともに過去最高を更新。高齢化による介護ニーズの拡大が最大の要因とみられている。給付費の膨張は今も進んでおり、今後も続いていく見通しだ。
あくまでも現時点での見込み額だが、厚労省は来年度の給付費が12兆2652億円にのぼると想定。2024年度に控える次の制度改正・報酬改定に向けた議論では、社会全体で介護の負担をどう分かち合っていくか、制度の持続可能性をどう確保していくかが最大の焦点となる。
との報道を見て思うこと。
国立社会保障・人口問題研究所によると、この先20年は高齢者の数は増え続ける
と言われている。そのため、しばらくは毎年このような報道を繰り返し聞くことに
なると考えられる。
『低負担・高福祉』と言われる我が国の社会保障制度、特に医療保険や介護保険は
支出に見合う収入が得られないため制度崩壊寸前である。
もういい加減、路線変更しないと本当に崩壊してしまう。
しかし、このような話題になるとアホなマスコミは決まって、「弱者の切り捨て」
と大騒ぎし始める。当ブログで何度も言っているが『弱者=高齢者』ではない。
十分な収入が得られず生活を維持することで精一杯という若者も大勢いる。そして
増大する高齢者の『低負担・高福祉』を維持するための財源として、その若者の
少ない収入から更に多くの負担を「むしり取る」ことになる。
結果として、「親元を離れられない」、「望まずとも共稼ぎしなければならない」
「自分の子供に同じような苦労はさせたくない」など、少子化を加速させる要素が
どんどん増えてくる。
毎日のように「高齢者が詐欺被害に遭った」との報道を聞いて思うことがある。
詐欺を働いた不届き者への怒りと同時に、その不届き者はアホなマスコミの報道を
鵜吞みにせず、今の高齢者は数百万円、数千万円という高額を支払う能力がある
ことを知っているということである。
さらに言えば、今の若者は生活に困窮しているので、『受け子や出し子』のように
捕まるリスクの高い役割を低賃金で担ってくれることも知っている。
詐欺を働く犯罪者を擁護する気など微塵もない。徹底した処罰と撲滅、そして可能
な限りの再犯予防や更生を心から願っている。
ただし、きれい事を並べるマスコミやきれい事しか目に入れたがらない一部の国民
よりもよほど現実社会を理解している。
ご利用者宅へお邪魔した際に、服用する意思がない多量の内服薬や湿布剤を目に
すると複雑な思いに駆られる。
「服用しないのなら必要無いのでは?」との問いかけに「保険利いて安いし、いつ
か誰かが使うかもしれないから」などと答えが返ってくると愕然としてしまう。
そこで私はこう思う。
① 国が保証するのは必要最低限の福祉として、上乗せ部分は全て自費とする。
② 介護予防は枠組み作りのみを国が支援し、実践は民間や地域に任せる。
③ 低所得者救済は上記のそれとは別の枠組みで対応する。
少し長くなってきたので、続きは次回に持ち越すこととする。