『「この国に国家資格はどれくらいあるのか。その名前も含めて全て示して欲しい」。2003年に野党議員が国会へ出した「質問主意書」の中の一文だ。これを受けた政府は、当時存在していた国家資格の名前を全て列挙した答弁書を閣議決定している。その中に、介護福祉士や社会福祉士などと並んで”介護支援専門員”も含まれていたことが、日本介護支援専門員協会の調査によって判明した。2003年の時点で既に、政府が介護支援専門員を国家資格として位置付けていたことを意味する。
介護支援専門員は国家資格として認められていない、という業界の既成概念とは相容れない見解。それが閣議決定されていたことで今後、一般的な解釈の再整理を求める声が広がりそうだ。
協会の柴口里則会長は取材に対し、「政府の閣議決定があるのなら、歓迎すべき事実だ。今後は、”介護支援専門員は既に国家資格である”という真実を広めたい。もちろん、ケアマネジメントの質の向上や介護支援専門員の処遇改善に向けた活動にも引き続き注力していく」と表明。「今は看護師や介護福祉士など他の国家資格を経ないと介護支援専門員になれない。今後はダイレクトで受験できる明確な国家資格を目指す」と話した。』
との報道を見て思うこと。
上記にある通り、業界内で介護支援専門員は、国家資格ではなく公的資格であり、
各都道府県が管轄しているという認識であった。
だが、上記の記事によると、我々が知らない間に同資格は国家資格へ『昇格』して
いたらしい。
個人的には、公的資格であろうと国家資格であろうと、やるべきことに変わりは
ないので「どっちでもいい」ことではある。
ただ、日本介護支援専門員協会会長の「今は看護師や介護福祉士など他の国家資格
を経ないと介護支援専門員になれない。今後はダイレクトで受験できる明確な国家
資格を目指す」との発言には大いに興味がある。
介護支援専門員は、対人援助の専門職である。
そのため、本来は同専門職として必須である相談援助にかかわる知識や技術を持っ
ていなければ専門職として成立しない。しかし現実には、そのような知識や技術を
持っていなくても、要件を満たした他の国家資格を持つものが取得することができ
てしまう。結果として、対人援助とは程遠い内容のケアマネマネジメントが方々で
展開されてしまっている。
これは例えるなら、調理に関する知識や技術が全くない者が、手先が少しだけ器用
という理由だけで、厨房に立ってお金をいただいて食事を提供しているようなもの
である。こんなことがまかり通ってしまえば、そこら中で食中毒が頻発してしまう
危険性が大いにある。
これまでに、下手くそなケアマネジメントの影響で、「食中毒」状態になるご利用
者やご家族を沢山見てきた。
そういった点からも、「ダイレクトで受験できる明確な国家資格を目指す」ことは
大変喜ばしいことではないだろうか。