「日本における平均的な年収」を語る場合に用いられる数値には、『平均年収』と
『年収中央値』とがある。
前者は、総年収額を頭数で割った数値である。
この数値は、「平均」と名がつくため多くの人が中央に位置すると考えている。
ところが、数人の数百億万長者がいるとこの数値は大きく跳ね上がるため、多くの
人の年収とは乖離してしまうことがある。
例えば、1億円の年収の人が1人と100万円の年収の人が9人いた場合の平均
年収は1,090万円となる。そうすると、多くの人は自分の年収の十倍が平均と
なってしまう。
後者は、最も多くの人が支給されている年収の中央値を指す。
この数値は、多くの人が受けている所得と合致することから、国民の平均的な年収
の感覚に近いと言われている。
ちなみに、昨年の『平均年収』は436万円で、『年収中央値』は370万円で
ある。両者の数値の差を見てもわかる通り、数値と感覚にはずれが生じている。
ところで、低賃金の代名詞と言われている介護職であるが、当方の同スタッフの
多くが年収中央値を超えており、平均年収を超える者も少なからず出てきている。
これも偏に、ここ数年の国の政策によって年収の引き上げを図っていただいた
おかげである。そして、今年新たな賃金引き上げの政策が打ち出されたこともあり
これから先まだまだ年収が上がっていくことだろう。
今や、介護職は安定した収入が得られる職種となってきており、もう「低賃金」と
は言わせない。
しかし、現役の介護職は、「年収が上がった!」といって浮かれてばかりでは
いられない。
年収が高いということは、世の中に必要とされている度合いが高い職種であり、
専門性や特殊性を伴うことが非常に多い。
そのため、年収が上がると次には『専門職としての質』を求められることになる。
また、安定した収入を求めて優秀な人材が職を求めてくる。
つまり、質の向上を探求できない人は淘汰されていくことになる。
個人的には大変喜ばしい状況になってきた。