『財務省は13日、財政健全化への道筋などを話し合う審議会で、要介護1・2の
高齢者に対する訪問介護と通所介護について、全国の市町村がそれぞれ介護予防
などを展開する総合事業の枠組みに移すべきと改めて主張。2024年度に控える
次の制度改正での具体化を重ねて求めた。
介護保険の総合事業では、市町村が地域の実情に応じてサービスの運営基準や報酬
などを独自に定めることもできる。全国一律のルールに基づく給付とは異なり、
例えばボランティア主体など人員配置を緩和して単価を下げることも可能だ。
来月にもまとめる政府への提言(建議)に盛り込む方針。2024年度改正の方向性
が決まる年末に向けて実現を働きかけていく構えだ。』
との報道を見て思うこと。
毎度のことではあるが、制度改定の2年前から繰り広げられる厚労省と財務省の
財政をめぐる綱引きがいよいよ始まった。
当ブログでは再三にわたって、「介護サービス事業者であっても、財政を行政に
丸投げするのではなく、限られた財源や人材をどのように有効活用するべきなのか
を考える必要がある。」と訴えてきた。
介護保険サービス費の大部分は、国民から徴収する税金や保険料で賄っている。
高齢者人口が増え続けている昨今、介護保険サービス費は膨らむ一方となる。
増えた支出を賄うためには、国民から徴収する税金や保険料を増額するしかない。
所得や年金額が増えていない状況で、物価が上昇し、税金や保険料が増額されて
しまえば多くの国民の生活が苦しくなってくる。
これが、この先数十年続く現状である。
こうした状況を踏まえて、どのように対策を講じるのかを考えなければ、平常の
生活を過ごしていた国民までもが生活困窮になってしまう。
そこで、現状の逆を考えてみる。
①高齢者人口を減らす。
②税金や保険料を減額する。
③物価を下げる。
④所得や年金額を増やす。
まずは、『①高齢者人口を減らす』について
この言葉だけだと非常に過激に聞こえる。「高齢者はさっさと死ねというのか!」
との声が聞こえてくる。
しかし、これはこういった意味ではなく
一つには、“高齢者の相対的な人数を減らす”ということであり、つまりは出生率を
上げて生産年齢人口を増やすということである。
もう一つは、“要援護者数を減らす”ということであり、つまりは上記の記事にある
ように介護サービス費の対象となる要介護度を引き上げて、利用者数を減らすと
いうことである。
出生者数を上げるためには、より社会保障を充実させなければならないことを考え
ると高齢者にかかる社会保障費との綱引きが始まることにもなりかねないので、
一朝一夕に政策を固められるものではないかもしれない。
そこで浮上してきたのが、“要援護者数を減らす”という考え方になる。
この考え方は、サービスを利用する需要が増えても、担い手となる供給が減って
きていることから、単に財政的な問題だけではなく、介護保険サービス事業の継続
という点からも現実的といえるのではないだろうか。
しかし、“軽度者”とラベルを張り替えても困りごとまで変わるわけではない。
介護保険サービスから外しつつも、その困りごとに引き続き対応するためには、
公的財源に頼らない社会福祉活動が重要になってくる。
それには、地域の支え合い活動などが機能してこないと難しい。
国の政策を見ているとこの活動を機能させることを“片手間”で行っているように
感じてならない。そのことに気が付かなければ、あるいは気が付かないふりをし
続けていれば、「高齢者を切り捨てる政策」と批判を受けても仕方がないだろう。
少し長くなってきたので、続きは次回に持ち越そう。