先日、3回の分けて次期制度改定と今後の社会保障制度について考え、
「私見として、公的収入の減少に合わせて公的サービスを減らす。減った公的サー
ビスを補う公的収入に頼らない社会福祉を充実させることが、最も現実的だ」と
結んだ。
『公的収入に頼らない社会福祉の充実』って、何すりゃいいんだろうか。
このことについて不特定多数と話をしていて思うことは、“壮大なプロジェクト”
をイメージする人がやたらと多いということである。
例えば、保健福祉の専門職を集めて予防医療の考え方に基づいた短期集中プロ
グラムを実施するとか。
地域の中に事務局を立ち上げ、社会福祉の専門職を配置してボランタリーな活動へ
の参画を希望する人を募り、地域ニーズと必ずしもマッチしているとはいいがたい
ボランティア活動を展開するとか。
国が主導して、何十年にもわたってこの手の政策を実施してきたが、はっきり言っ
て全くと言っていいほど成果が出ていない。
さらに、この手の政策の窓口となっている保健所、保健センター、社会福祉事務所
地域包括支援センター、社会福祉法人のいずれもが悲劇的なほど機能していない。
社会福祉の専門家と言われる社会福祉士や法人税が免税されている社会福祉法人が
果たしてこの世に必要不可欠な存在なのか大いに疑問がある。
能書き垂れるばかりで行動が伴わない社会福祉士たちや「地域とともに」といった
理念を掲げつつも行動が伴わない社会福祉法人を見ているだけでイラッとする。
地域に目を向けると、オフィシャルでもなく規模も小さいが様々な活動が長年実施
されている。
自治会のメンバーが声を掛け合って『散歩の会』を作っていたり、手芸好きの仲間
が自宅に集まって談笑しながら互いの作品を品評し合ったり、高齢者同士が安否
確認を兼ねて互いに電話を掛け合ったり、自治会館等をお借りして共通の趣味を
楽しむサークル活動を行っていたりと、挙げればきりがないほどたくさんの活動が
目の前で行われている。
ちなみに当方では、介護保険外事業として多様なサークル活動を立ち上げて地域の
皆さんとの交流を図り、その方々の中で希望者を募って町のゴミ拾いなどのボラン
タリーな活動を行っていたり、近隣の自治会や非営利活動団体の会合や催し会場と
して場所を提供したり、地域の方々からの要望を受けて健康や福祉にかかわる出前
講座などを行っている。
細やかながらもしっかりと地域に根付いているこうした活動に目を向けずに
“壮大なプロジェクト”ばかりにとらわれている以上、『公的収入に頼らない社会
福祉の充実』の実現の道のりは遠いと言わぜるを得ない。