2024年度に控える次の介護保険制度改正に向けた議論が進む中で、今回の論点
が見えてきた。
①居宅介護支援費(ケアマネジメント費)の自己負担金導入
②要介護1、2の方が利用する通所介護及び訪問介護の総合事業への移行
③自己負担2割となる方の対象年収額の引き下げ
当ブログで、①や③については繰り返し見解を述べているので、②について考えて
みたい。
私は、独立前も含めると約20年間ほど通所介護(デイサービス)の事業にかかわ
ってきたのだが、この事業は時代の流れとともに大きく変わった部分もあれば、
ずっと変わらない部分もあると感じている。
個人的に「変わらないなぁ」と感じるのは、この事業をご利用される方のニーズで
ある。そのニーズとは、大別すると2通りがあるように思う。
その一つは『ケアを必要としている』で、もう一つは『居場所や拠り所を必要と
している』の2通りである。そして、多くの方がこの両方のニーズを持っている。
ただし、通所介護のご利用者の中には、ニーズの大部分が『居場所や拠り所を必要
としている』という場合も少なくはない。そして、そういった方であっても、要支
援や要介護の認定を受けていれば、同サービスの利用が可能となる。(適切にケア
マネジメントが行われているか否かを横に置いておくと)
さらに言うと、『ケア』のニーズがほとんどなく、『居場所』のニーズがほとんど
という方の多くが要支援や要介護1、2という認定を受けている方である。
そのため、上記②のような流れが生まれたのだろう。
この様に話をまとめようとすると、「要介護1、2でもケアのニーズがある方だっ
てたくさんいる。このように分類することは乱暴だ。」という方がいる。
確かにその通りなのだが・・。
介護保険制度は、要介護度のランクによって利用できる介護保険サービスの種類や
量が決められている。つまり、この制度はニーズの中身ではなくランクによって
介護保険サービスの利用内容を分類する方法を取っている。
しかしそれだけでは乱暴なので、同制度ではケアマネジャーによるケアマネジメン
トでニーズを細かく掘り下げて、必要な介護保険サービスやインフォーマルな社会
資源を組み合わせて利用することで、困りごとを抱えている方のニーズの充足を
図ろうとしている。
『ケア』のニーズであれば、当然介護保険サービスを利用することが妥当だろう。
しかし、面倒だからと言って『ケア以外』のニーズも一緒くたにして介護保険サー
ビス一辺倒の調整をしてしまうと財政的な問題から②のような流れが出来上がる。
この様な流れが出来上がるのは、偏に『地域支援事業や活動をおざなりにしてきた
国の姿勢』と『粗末なケアマネジメントをしてきたケアマネジャー』が生み出した
結果であろう。