北海道江別市でケアプランセンター、小規模多機能ホーム、デイサービス、訪問看護ステーションを運営するみのりの丘グループ

みのりの丘

みのりの丘代表ブログ

宝の持ち腐れ

2022.5.19

数日前から膝に違和感はあったが、気になるほどではなかったのでそのまま放置

していたら、昨日になって痛みに変わったため、患部を冷やし痛み止めを服用して

様子を見ていた。今朝になっても痛みは残っていたが何とか職場に到着できたので

仕事をしていた。ただ、このまま様子を見ていていいのか、病院へ行ったほうが良

いか迷っていたので、当方所属の理学療法士からアドバイスをもらうこととした。

この時ほど、身近なところに専門家がいることのありがたみを感じたことはない。

 

そこでフッと思ったことは、「様々な病気や障がいを抱えている要援護者にとって

は、こうした身近な専門家の存在がより重要であろう」ということである。

しかし残念ながら、その専門家がどれほど高いスキルを持っていても、使われ方に

よっては『宝の持ち腐れ』になってしまう。

 

介護保険制度下における要援護者がリハビリ専門職からサービス提供を受けるため

には、主治医がその必要性を認め、ケアマネジャーがそのサービスを調整しなけれ

ば実現しない。その要となる方々の理解が不十分だと同要援護者は貴重な出会いの

場面を奪われることになってしまう。

 

特に在宅生活におけるリハビリ専門職の役割は広い。

多くのケアマネジャーが作成するケアプランを見ていると、リハビリ専門職から

サービス提供を受ける理由が、「心身機能の維持・向上」となっていることが多く

ある。果たしてこの理由って正しいのだろうか。

 

確かに、新たに病気を発症したり、既往の悪化によって受けた障がいを治療する

目的があれば、『機能を元に戻すための施術』が必要となるかもしれない。

しかし、ケアマネジャーが作成するケアプランの主な目的は、『病気を治す』こと

ではなく、『生活を維持する』ことである。

衰え行く心身機能や回復の見込みが薄い障がいを抱えながら、いかにして生活を

維持していくか計画するのがケアプランである。

リハビリ専門職からサービス提供を受ける理由を心身機能の維持・向上とした場合

機能が維持向上できなければ、リハビリ専門職の存在意義も在宅生活の継続も難し

いと言っているに等しいのではないだろうか。

 

既存の能力(身体的能力、経済的能力、介護力、整備された環境)を加味して生活を

維持していくという視点を持った時にリハビリ専門職の役割はとても大きい。

そのことを計画立てることができないケアマネジャーが多いと要援護者は貴重な

出会いの場を奪われ、リハビリ専門職は宝の持ち腐れとなる。