北海道江別市でケアプランセンター、小規模多機能ホーム、デイサービス、訪問看護ステーションを運営するみのりの丘グループ

みのりの丘

みのりの丘代表ブログ

今すぐ人が増えるわけではない

2022.8.5

『厚生労働省が7月末に公表した実態統計で、居宅介護支援事業所数の今年4月の直近の状況が明らかになった。前年同月より487ヵ所少ない3万7831ヵ所で2018年のピークと比較すると、今年はマイナス5.58%となっている。一方、居宅介護支援の費用額については右肩上がりが続いている。今年4月は432.04億円。昨年4月(413.99億円)より4.36%伸びていた。事業所数が減少していく背景には、居宅介護支援の中規模化、大規模化が緩やかに進んでいる状況もあるとみられる。』

との報道を見て思うこと。

 

上記報道では、居宅介護支援事業所全体の事業収入(介護保険サービスの利用者)

は増え続けているが、事業所数は減る続けているので、一つの事業所が担当する

利用者が大幅に増えていて、一つの居宅介護支援事業所に所属するケアマネジャー

の人数が増えて、中規模化、大規模化が進んでいると結んでいる。

 

たしかに国は、居宅介護支援事業所に所属するケアマネジャーの人数が3人以上で

あれば取得することができる加算(人数以外の算定要件はある)を創設して居宅介

護支援事業所の中規模化、大規模化を後押ししてきた。

 

しかし実情を見ると、介護保険サービスの利用者が増え続けていることに対応する

だけ、ケアマネジャー業務に従事している人数は増えていない。

つまり、上記の報道から読み取れることは、『運営母体や人員数等の事情によって

閉鎖する事業所が増えている』ことと『ケアマネジャー1人あたりが担当する利用

者が増えている』ということのように思う。

そのことの裏付けとなる制度の改正行われている。

それは、「1人のケアマネジャーが減算を受けずに担当することができる利用者数

の上限が引き上げられた」という内容である。

 

おそらくは、閉鎖した居宅介護支援事業所の多くが、1人、2人のケアマネジャー

が所属する“小規模事業所”であっただろうと考えられるが、イコール「中規模化、

大規模化が進んでいる」とはいいがたい。

ただ単に、ケアマネジャー1人1人が、業務過多で“あっぷあっぷ”の状況にある

だけのように思える。

 

そこで、ケアマネジャーの数を増やすために、「介護職と同様の処遇改善にかかる

加算をケアマネジャーにも創設するべきだ」との声が上がっている。

しかし業界全体から見ると、この考え方は何の解決にもならないように思える。

高齢者介護の業界に身を置く者の数が増えていない中で、いずれかの職種の処遇を

上げればそこに人は集中するが、他の職種に人が集まらず介護事業が成立しない

ことになってしまう。

 

これから数年先に、「人口が爆発的に増えて介護業界で働く人が大幅に増える」と

いう将来が待っているとは到底思えない。

だから現段階では、『介護保険サービスの利用に該当する者の数を減らす』しか

方法がないように思う。そしてその間に、財源や人材不足を補う方法を考えていく

しかない。