北海道江別市でケアプランセンター、小規模多機能ホーム、デイサービス、訪問看護ステーションを運営するみのりの丘グループ

みのりの丘

みのりの丘代表ブログ

居宅介護支援は行政サービスではない

2022.8.24

2024年度の介護保険制度改正に向けた審議が粛々と進められている中で、未だ

に「居宅介護支援にも利用者負担を導入することに断固反対」と宣う方々が散見

される。

 

様々な反対意見が発せられているが、それらを要約すると「居宅介護支援は特別な

任務を背負っており、他の居宅サービスと同列で扱われるべきではない」といった

趣旨の内容が多い。

それにしても、「特別な任務」って何なんだよ。

公正中立な立場で、ご利用者を総合的にマネジメントし、介護給付に一定の責任を

持つことをして「特別な任務」とでも言いたいのだろうが、はっきり言って自分達

の既得特権を守りたいだけのあさましい考えでしかないと思っている。

そして、無能な人ほど一度得た既得特権を手放すことに抵抗する。

 

私の身近にいる知識や技術の優れているケアマネジャーの皆さんは、「有料だろう

と無料だろうと自分の職務を全うするだけ」といって、居宅介護支援の利用者負担

導入など全く気にしていない。その時に話題にあがることといえば、「今までには

なかった利用者負担金の徴収にかかるシステムを早いうちに構築しなければならな

い。」ということくらいである。

 

介護保険の居宅系サービスには、小規模多機能型居宅介護や看護小規模多機能型居

宅介護(以下、「多機能サービス」という)というサービス種別がある。そして、

その介護サービスにはケアマネジャーの配置義務があり、利用者負担が発生する。

つまり、同じ居宅でケアマネジメントを実践しているのに、方や利用者負担なしで

方や利用者負担ありとなっている。このことを指摘すると、「多機能サービスに

おける介護サービス費と給付管理費は別建てとなっていて、ケアマネジメントに

おける給付管理費には自己負担はない。」と反論する人もいるが、無理筋の屁理屈

でしかない。なぜなら、給付請求システム上別建てとなっているだけで、料金体系

まで別建てとはなっていないからである。

そもそも、サービスを利用する側からは、「ケアマネジメントの部分は自己負担が

発生していない」などと言う理解はない。

 

それとも、居宅介護支援にかかわるケアマネジャーは、「自分たちだけ特別であっ

て多機能サービスにかかわるケアマネジャーは別」とでもいいたいのだろうか。

だとすると勘違いも甚だしい。

単一の介護サービスを利用するだけで、インフォーマルな社会資源調整も行わずに

サービス提供が終わることも多い居宅介護支援と違って、多機能サービスは文字通

り多岐にわたるサービスをマネジメントすることが必須であり、ニーズが多岐に

わたることから必然的にインフォーマルな地域の社会資源との密接な関係性構築も

求められる。

ちなみに当方の方針としては、「多機能サービスにおけるケアマネジメント業務は

より高度な知識と技術が必要」と位置付けており、居宅介護支援事業所で複数年の

経験を持つケアマネジャーしか配置しないこととしている。

 

以前にも申し上げたが、介護保険サービスは利用者負担金が発生する社会保険

サービスであり、民間に市場を開放している制度である。行政が直接サービス提供

を行わないので、利用者負担金が発生することは必然である。

それに、行政サービスとしての役割を求められているのは、地域包括支援センター

くらいのもので、居宅介護支援事業所にはそこまで求められていないし、実際の

ところ、報酬の無い公益的支援を安定して継続的に実行できている居宅介護支援

事業所など皆無だろう。

特権を主張するなど図々しいにもほどがある。