我々がサービス提供に見合った報酬を得るためには、ご利用者負担分を請求し徴収
するとともに、介護報酬を保険者に請求する必要がある。
その請求方法は、インターネット回線を利用して伝送請求ができるシステムが採ら
れているが、請求初回月や伝送が困難な状況にある場合等は、CD-Rにデータを
保存して提出することが求められる。
今どき、CD-Rを使ってデータ保存をしている企業などほぼない。そのため、空の
CD-Rを保有していない企業は、わざわざCD-Rを買わなければ求められる請求行為
ができない。しかし、一定の役割を終えているCD-Rはあまり多く市場に出回って
いないため、買い求めるにも一苦労であり1枚単位で販売していないため、不必要
な枚数を購入しなければならない羽目になることも多くある。
それでも今はまだましな方である。
もう少し前のCD-Rではなく、フロッピーデスクにデータを保存して提出すること
が求められていたころは悲惨だった。フロッピーディスクが一定の役割をとうに
終えていたため、一般的に市販されているPCにはフロッピーディスクの挿入口が
なかった。そのため、求められる請求行為を実行するためにフロッピーディスクが
挿入できる付属機器をわざわざ購入しなければならなかった。
先日の河野デジタル大臣の発言にある「行政に(書類などを)提出する際にいまだ
にフロッピーディスクで提出をしろと。今頃フロッピーどこで買えるんだというの
もあると思うが、こういうものは早期に見直しする」の通りのことが現実に行われ
ている。
日本の行政機関は、デジタルにかかわる分野において、一般の民間企業より20年
以上後れを取っている。
厚生労働省は、「介護業界のIT推進や生産性の向上」を声高らかに謡っている。
まるで自分たちがけん引役となるかのように振舞っているが、20年以上後れを
取っている者たちの“どの口がいっている”のやら。案の定、前回の介護報酬改定で
制定された『LIFE(科学的介護情報システム)』は悲劇的なほど機能していない。
これでは、『幼稚園児が大学生に勉強を教える』くらい粗末なことである。
日本の行政機関は、自分達が民間の我々の足を引っ張り、生産性の向上を阻害して
いるという自覚がまるでない。
『せめて“大学生レベル”になってから勉強を教えてもらいたい』ものである。