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みのりの丘

みのりの丘代表ブログ

高齢者の単独世帯の急増

2022.9.12

厚生労働省が今月9日に公表した、2021年の「国民生活基礎調査」によると

65歳以上の単独世帯は742万7000世帯で過去最多となったそうだ。また

同調査は、高齢者の単独世帯のうち、75歳以上の割合は56.9%で、80歳

以上も37.0%を占め、夫婦で暮らす世帯なども含めた高齢者世帯全体は、15

06万2000世帯、国内の全世帯に占める割合も29%まで上がり、こちらも

過去最高を更新しているとの内容も合わせて公表した。

 

これは、高齢者人口が増えているから、「こういった数値が増えることは必然」と

単純に結論付けてしまう話ではないように思う。

 

人口の増加以上に単独世帯の高齢者が増えている理由には、『既婚歴がない、子供

がいない、兄弟がいない、子供との同居の減少』などの社会的変化が要因となって

いる。こうした状況から、「身内の支援を受けることが難しい要援護高齢者が急増

する」ことが予想される。

そうした時のために社会保障制度があり、社会保険サービスがあるわけだが、制度

そしてマンパワー上の限界があり、解決しなければならない社会的な課題がいくつ

もある。

 

その課題の一つは、『病院受診の送迎や同席』である。

長年、家族の役割とされてきたこの行為も家族がいるいないによって、状況が大き

く変わってきてしまう。この行為を第三者に依頼するとしても、クリアしなければ

ならない課題が山積している。

指定の許可を受けることで、指定の訪問介護事業者などが自家用車による有償の

運送ができることとはなっているが、現状では補足事業としてはありえても、メイ

ンの事業として運用することは難しいことから、どれほど多くの企業が参入するの

だろうかと思ってしまう。

また、病院受診の送迎だけではなく診察場面への同席も含めた支援となると、半日

作業となってしまうため、マンパワーが不足している事業者にとっては、対応に

苦慮する支援内容となる。

 

また、以前当ブログでも取り上げた『医療侵襲(しんしゅう)行為の同意』もその

一つである。

医療行為としての侵襲とは、手術などによって体を切ったり、薬剤投与によって

体になんらかの変化をもたらす行為などを指す。

一般的には、生命維持の危機を回避するために体に何らかのダメージを与える危険

を伴う治療が施されるため、例外はあるものの本人の同意に基づくことが原則と

なる。

そのため、認知症状などによって同意に必要な判断能力が十分にはなく、本人の

代弁者となる家族がいない場合には、必要な医療行為が受けられなくなる場合が

発生してしまう。

例え親身になってかかわってくれているケアマネジャーや介護サービス事業者で

あってもこのことについては、手も足も出すことができない。そして、残念ながら

法制度上、家族以外で同意権を有する者はいないことになっているため、家族が

いないことが大きなハンデとなってしまう。

 

これから先の数十年は、高齢者の単独世帯の人数も全体に占める割合も益々増える

傾向にある。そのため、(対応できる)家族がほとんどいない方でも、不自由なく

生活を営むために必要な支援を受けることができるような法整備や規制緩和が急務

となっている。

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