『要介護1と2の高齢者に対する訪問介護、通所介護のサービスを、現行の介護給付から市町村の「総合事業」の枠組みへと移管する構想をめぐり、「認知症の人と家族の会」による反対のオンライン署名運動に支持が集まっている。1日16時の時点で2万9065人が賛同。Twitterでは一時、「#要介護1と2の保険外し」がトレンド入りした。』
との報道を見て思うこと。
3万人近い賛同者の中で、現状を理解している方々がどれほどいるのだろうか。
その中には、「ただ何となく」反対している者や「保険外し」、「切り捨て」など
のキラーワードに過剰に反応しているだけの者も数多くいるのではなかろうか。
また、国(財務省)の陰謀論を唱えて、闇雲に反対している妄想家もそれなりの
人数がいるのではないだろうか。
この賛同者たちは、今回取り上げられている枠組みが、多くの現場の悲痛な叫びが
反映されていることを知らないのではないだろうか。
8年前の介護保険制度改定時に行われた『要支援者の訪問介護、通所介護の総合
事業への移行』に対して、胸をなでおろした介護現場がどれほど多くいたことか。
「サービス利用の依頼があれば理由もなく断ることはできないが、人員が高齢化し
新規採用者が増えない現状の中で、増え続ける要支援者ばかりに援助を行えば、
より重度でより援助を必要としている方々へ援助の手が回らない。」といっていた
現場責任者が数多くいた。
これから先の数十年間は、要介護1、2の認定を受ける方々が爆発的に増え続ける
ことは既定の事実である。そうした中で、介護の担い手となる生産年齢人口は減り
続ける一方である。
受け手が増え続けるのだから、担い手も同様に増やしていかなければ、需要と供給
のバランスが図れない。残念ながら現状では需要に対して供給が追い付けない。
そうすると、供給が追い付くまでは需要の在り方を見直すしかない。こんなことは
小学生でもわかることである。
生活に直接影響を与える“ライフライン”だって、需要と供給のバランスが崩れれば
「節電、節水」を実行しなければならない。介護現場の供給不足はそれほど深刻な
状況にあり、その度合いは今後ますます深まる一方である。
今回取り上げられている枠組みに反対している輩は、こうした深刻な介護現場の
現状を全く理解せず(理解しようとせず)にいる者か、○○かのどちらかだ。
そういった輩には、「反対するくらいなら、深刻な供給不足を今すぐ解消する対案
を出せよ!」と強く言いたい。