以前当ブログで
『訪問介護や通所介護など複数の在宅サービスを組み合わせた新たなサービスの
類型を2024年度から創設する方針を固めた。』との報道を取り上げ、この方向性は
至極まっとうであろうとお伝えした。
そしてこの新たな類型を「限られた財源や人材を効率よく活用できるだけではなく
介護サービスをご利用される方々にとっても、介護サービス事業を運営する組織に
とっても有効なこの方法は、今後主流となっていくのではないか」と申し上げた。
しかし、介護業界以外の方には馴染みのないことかもしれないが、同じ介護の仕事
と言っても、訪問介護と通所介護では担うべき役割や業務を行うシチュエーション
がやや異なるため、「訪問の仕事は不慣れ、通所の仕事は不慣れ」という介護職員
が少なくない。
そのため、当方が運営する小規模多機能型居宅介護事業や看護小規模多機能型居宅
介護事業の求人に応募された中には、面接時に上記のような不慣れなことに不安を
感じていることを吐露される方が結構いらっしゃる。
つまり、この新たなサービス類型を制度化したとしても、多機能な業態に対応でき
る人材を集めることができず、事業運営を断念せざるを得ない法人(会社)が多く
出てしまう可能性がある。
「不慣れ」や「苦手」といった意識の根底にあるものは人それぞれ違うため、一概
にその意識についてどうこう言うことはできないが、ただ単に「経験したことが
ないから」という理由であれば、それほど不安視する必要はないように思える。
複合型あるいは多機能型の介護サービスの特徴は、同サービス事業者の登録者のみ
にサービス提供を行うことにある。
訪問サービスを提供するご利用者は、日常的に通所サービスを提供している方、
あるいは通所サービスを提供するご利用者は、日常的に訪問サービスを提供して
いる方であるため、すでに関係性が構築されていることが多い。つまり、ご利用者
のことをある程度理解している馴染みの関係性の中で、異なる介護サービス提供
するだけなので、単発の訪問介護や通所介護よりもご利用者にとっても介護サービ
ス事業者にとっても非常にハードルが低くなる。
当方の多機能サービス事業所に所属するスタッフの中には、当方に就職する前まで
訪問サービスか通所サービスのいずれかの経験しかない者が多くいた。そして、
業務開始当初は、「不慣れ、苦手」を口にする者もそれなりにいたが、そのうちに
「通所でしか見ていなかったご利用者が訪問によってご自宅でどのように過ごして
いるのかがわかり、そのご利用者の理解を深めることができた。そうすると自ずと
どのようなサービス提供を行えばよいのかがわかってきた。」といった発言が
聞かれるようになった。
複合型あるいは多機能型の介護サービスにはこういった魅力がある。
私は求人面接の際には、事業の内容をある程度説明したのちに「過度な苦手意識は
持たなくても大丈夫ですよ。」とお伝えしている。