新型コロナウイルス感染症対策として、一部の場所では義務化されていたマスクの
着用が、昨日から「個人の判断にゆだねる」こととなった。
私個人としては、大分前の段階で新型コロナウイルスが感染症法上の2類相当では
ないと訴えてきたので、「今更か」との感が否めない。それでも、遅ればせながら
正常な方向に進んでいることはとても喜ばしい。
昨日からの報道等を見ると、「街行く人たちのマスク着用率」なるものを取り上げ
る内容が数多くある。自分で判断することができない国民性を象徴するこういった
報道を目の当たりにすると情けなくなってくる。
そして、街頭でインタビューに答える国民の意見を聞いていると、ルールとマナー
を混同してしまっている人が多くいるように感じる。
これまでも、感染リスクの低い場所でのマスク着用は、マナーであってルールでは
なかった。にもかかわらず、「ルールを守っていない」として自粛警察なるものが
ルールに従わずに制裁を加えようとしてきた。
今後は、「個人の判断にゆだねる」のだから、どういった場所であってもマスクの
着用は、マナーであってルールではなくなった。
日本人のマナーは、諸外国と比較しても自慢できるほど意識が高いと思う。だから
自粛警察の発動や同調圧力の強化を行わずとも大きく秩序が乱れることはないと
確信している。
それでは、当方のような高齢者介護事業者はどうするのだろうか。
当方としては、スタッフに対して、介護を必要とする高齢者に直接かかわる職務中
はマスクの着用を義務化している。無論、プライベートは個人の判断にゆだねる
こととしている。
しかし、これは我々にとって特別なことではない。
新型コロナウイルス感染症が流行する前から、介護を必要とする高齢者に直接かか
わる職務中にマスクを着用することは珍しいことではない。例え弱毒なウイルスで
あっても、介護を必要とする高齢者にとっては危険となり得る場合がある。
我々には、感染症予防やまん延防止に対する職業倫理に基づく内部規制がいくつか
ある。これは、マナーではなくルールである。
職務中のマスクの着用を義務化している業種はほかにもたくさんあるが、
ルールとマナーを見誤ると、その行動は本質から遠ざかっていく。