『今月26日に開催された政府の諮問会議で、加藤勝信厚生労働相は診療報酬や介護報酬の大幅な引き上げが必要との認識を示した。「足元で物価が大きく上昇しており、(医療機関や介護事業所などは)公的価格のもとで経営状況の悪化につながっている。賃上げも他分野に比べて進まず、人材確保の観点からも報酬の大幅な増額が必要」と言明した。』
との報道を見て思うこと。
当ブログで何度もお伝えしていることではあるが、
例外はあるものの一般的なお店は、自分達で売値を決めることができる。
例えば飲食店では「水道光熱費や食材料費が高騰してきていて、価格に転嫁しなけ
ればお店がつぶれてしまうので商品の値上げを行う」といったことがある。
勿論、値上げしたによる客離れで、より経営が苦しくなるというリスクはある。
どういった方法を選択したとしてもリスクは伴うものではあるが、自分達できめた
ことなら、望まない結果になったとしても「仕方がない」と思えるかもしれない。
一方で、社会保険制度下における医療や介護サービス費は、国が報酬額を決める。
公的サービスなのだから、国が金額を決めることは当たり前のことである。そこで
上記にあるような話し合いが国主導で行われることになる。
しかし、「そういうわけだから医療・介護報酬額を値上げしましょう」と簡単に話
が進むわけではない。国家予算を配分するわけだから、他の分野に係る費用との
バランスを考えなければならないし、そもそも財源をどうするのかを考えずに値上
げなどできるわけがない。
我々介護サービス事業者は、価格を自分たちで決めることができない中で、事業の
運営に必要な諸経費が高騰し続けている状況にあって、非常に苦しい立場にある。
加えて、人材確保に必要な諸経費も高騰を続けているため、切り詰める場所が見当
たらず、企業努力も限界に達しつつある。こういった状況にあっては、望まない
結果になったとするとさすがに「仕方がない」と思えない。
だから、介護サービス事業を運営する経営者としては、「介護報酬を引き上げて
くれ~」と叫ぶことが一般的だろう。
私も同様に叫びたい気持ちはあるが、一方で無計画に増え続けた介護サービス種別
や事業所数が淘汰される良いきっかけかもしれないという思いもある。
介護サービスの中には、公的サービスとしての一定の役割を終えた介護予防施策や
サービス種別がいくつかある。
いたずらに国民の負担を増やすばかりではなく、切り詰めるところはしっかりと
行った上で、必要不可避な介護サービスの介護報酬引き上げを話し合ってもらい
たいものだ。