先日、報道された
『介護職で組織する労働組合「UAゼンセン日本介護クラフトユニオン」の賃金の
動向などを把握する最新の結果によると、月給で勤める介護職の2022年の平均
年収は392万4000円で、ケアマネの平均年収が394万8000円。
厚生労働省の賃金構造基本統計調査によると、全産業の同年の平均年収は496万
5700円で、今回の介護職やケアマネとの格差は100万円以上にのぼる。』
との内容を見て思うこと。
当ブログで以前にも取り上げた通り、「数字はうそをつかないが使う人によって
恣意的に事実がゆがめられる」ことがある。
『その業界の平均年収』と言われると、「その業界における多くの人がもらって
いる平均的な年収額」と思う人が多くいることだろう。
しかし、年収の平均値はごく一部の高額所得者がその数字を引き上げているだけで
多くの人がもらっている平均的な年収額ではない。
多くの人がもらっている平均的な年収額を求めるのであれば、「平均値」ではなく
「中央値」を示さなければならない。
そして、介護の業界においては、同じ業界あるいは同じ会社に所属する正規職員の
年収格差はほとんどないことが一般的であることに対して、他の業界の中には同じ
業界あるいは同じ会社に所属する正規職員の年収格差が10倍以上あるということ
が、少数ではあっても存在し、億単位の年収がある正規職員も相当数いることも
決して珍しいことではない。
そのため、介護業界の平均値と中央値には大きな差はないが、全産業で見た場合は
平均値と中央値に大きな開きがある。
つまりは、介護の業界とその他の業界との間には、多くの人がもらっている年収額
に大きな差はなく、格差100万円以上というのは事実ではない。
『UAゼンセン日本介護クラフトユニオン』は、「介護職員の処遇を少しでも上げた
い」との思いから、情報を発表したこととは思うが、いたずらに業界の年収が低い
低いと自分たちを卑しめることは避けたほうが良い。
私に言わせれば「年収は低くないし、伸びしろが大いに期待できる職種」である。