私は、経営者としての職務に従事しながら現役のケアマネジャーとしての職務にも
従事している。そのため、ケアマネジャーの有資格者でなければならない。
そしてケアマネジャーの資格は、高齢者介護事業にかかわる資格の中で唯一更新制
が導入されており、私は新型コロナウイルス感染症の特例措置による2年間の更新
延期手続きを行っていたため、今年がその更新のタイミングとなっており、来月
から更新に必要な研修を受講する予定でいる。
しかし、5年毎に更新することが義務付けられていることに疑問を持つ者が多く、
根強い「更新廃止論」が沸き起こっている現状でもある。
私は、数年前まで約10年間、『北海道介護支援専門員研修の企画委員』を委嘱
されていたので、同研修の受講者と主催者側の両方の立場を経験してきた。
同研修の企画委員を担っていたころは、「受講者にとってより有用な研修とするため
にはどのような内容を盛り込んでいくべきか」を主眼に置いて、テキストや研修の
進め方を委員の皆さんと喧々諤々話し合い、時には企画会議が深夜にまで及ぶこと
もあった。こうした経緯を持って開催されている研修が「無駄!」の一言で片づけ
られてしまうことには複雑な思いを持っている。
しかしその一方で受講者の立場で考えた時に、「何でケアマネジャーだけが更新を
必要とする資格なのか」との疑問を払拭することができない。
もしも更新が必要な理由として「常に最新の知識が必要」ということが挙げられる
のなら、高額な受講料や膨大な時間を要する更新研修という形式ではなく、最新の
知識に関する情報提供を受けることができればよいだけの話だろう。
残念ながら、主催者側がどれだけ「受講者にとってより有用な研修を」との思いを
持って開催しても、高齢者介護事業にかかわる資格の中で唯一更新制が導入される
理由に足る説得力を持つ内容とすることは非常に難しい。
さらに、医師が法に基づかない安楽死に手を貸したり、教員による暴力や性的虐待
といった報道を何度も耳にするたびに、こういった資格こそ適性を図るための更新
制を導入したほうが良いのではないかと思ったりする。
他に更新制の導入が検討されなければならない資格が多数あるにも関わらず、それ
らの資格は導入が見送られたり、廃止になる一方でケアマネジャーの更新制だけが
廃止にならないのは、役人の天下り先とその財源の確保にはなくてはならない存在
であるため、それなりの母数はあるが政治的発言力の弱い資格を狙い撃ちして、
「資格更新制」をもっともらしい理由をつけているからだろうと予想される。
この手の話は、きな臭い利権と金の動きが見え隠れする。
そんな裏側が透けて見えるような更新制では、主催者側も受講者も報われない。