以前に当ブログで
「自分以外の人から搾取することでお金持ちになれるのだとしたら、その財の一部
は何らかの形で還元されるべきだろう。そんな志も目的意識もない者たちばかりが
”お金持ち”に成り上がるのだとしたら、世も末だな。」と申し上げた。
世の中には、人を欺き搾取することで一定の財を築く不届き者がいる。
その中で私が最も軽蔑する犯罪は「詐欺」である。
詐欺を働く者は、明確に人を欺くことで利益を得ることを目的としている。
詐欺事件が報道された場合に、「騙された方も悪い」といった論調で語られることを
よく耳にする。しかし、それは被害者に対する誹謗中傷以外の何物でもなく、また
詐欺の実態を全く理解していない無知な者の言葉でしかない。
犯罪者を称賛する気持ちは微塵もないが、詐欺を働く者(特に首謀者)の多くは、
私たちの想像をはるかに超えるほどよく心理学や行動学を学んでいる。そして、
こうした学問に精通している者でも欺くことができる方法論を熟知している。
周囲で「何で詐欺になんて遭うのだろうか。私なら絶対に騙されない。」という人を
見かけると、私は「あなたのような人が一番騙しやすいんですよ。」と声をかけたく
なる。
前回の当ブログで
『「失敗が許されない事柄であるほど、失敗することを前提としなければならない」
これが私の持論である。そうした前提に立って初めて、失敗を限りなくゼロに近づ
けるための準備に取り掛かることができるし、万一失敗した場合にも原因の究明が
しやすい。』と申し上げた。
詐欺の被害を未然に防ぐためには、「詐欺被害に遭うかもしれない」という想定の下
で、必要な準備を進めることのほかない。
この手の犯罪者は、しっかりと準備を整えても、その想定を超えてくるので非常に
厄介である。
最近流行っている詐欺は、「あなたの通帳が不正利用されており、このままではあな
たも共犯者になる」といい、示談金と称して金銭を要求する手口があるそうだ。
これまでの手口も同様であったが、相手をパニック状態に陥れるため、深夜や早朝
に電話をかけてきたり、身近な者に相談する隙を与えないように畳みかけるように
指示するようだ。
結果的に相手の判断能力を低下させて詐欺を成立させるのである。
こうした手口の巧妙さは増していくばかりで、私たちの想定をはるかに超えていく
ため、個人の力では十分に防ぐことは難しい。