北海道江別市でケアプランセンター、小規模多機能ホーム、デイサービス、訪問介護施設を運営するみのりの丘グループ

みのりの丘

みのりの丘代表ブログ

年収の壁は正義か?

2024.11.4

先の衆議院議員選挙において大幅に議席を増やした『国民民主党』が、過半数割れ

した与党の政策に大きな影響を与えるのではないかと脚光を浴びている。

そして、同党が選挙期間中に公約として訴えていた「国民の手取りを増やす」から

端を発して103万円の壁や130万円の壁が大きく取り上げられることが増えて

きているように思う。

 

「年収103万円の壁」とは

アルバイトやパートなどで得た収入に所得税が課税され始める年収額を指す。また

学生など家族の扶養に入っている人は、この額を超えると税制上の扶養から外れる

ことになり、扶養者は扶養控除額に対する所得税と住民税が課税されるため所得税

と住民税が増えて手取り額が減ることになることを指す。

 

「年収130万円の壁」とは

扶養者が会社員の場合、自分の年収が一定の金額を上回るまでは、扶養者の社会保

険上の扶養に入ることができるため、社会保険料を払わなくて済むが、年収がこの

額を超えると本人が社会保険に加入することになるため、給与から社会保険料が差

し引かれて、手取りが減ることになることを指す。

 

「年収の壁」については何も真新しい話題ではなく、手取りが増えず中々生活が

豊かにならない現状や労働者不足が深刻化してきている現状を踏まえて、国会で

「壁を解消する」議論がなされてきた。

しかし「この壁」って必要なのだろうか?

 

そもそも「壁」があるから、上限を超えないようにと働き控えをするのであって、

初めから壁など無ければ控えることを思考することもないだろうと思う。

それに、就労で得た所得が10万円だろうが100万円だろうが所得税の対象と

なることが当たり前ではないだろうか。

最小限の労力で最大限の恩恵を受けたいという思考は、国力を更に弱体化していく

ことになるのではないかと思うし、結果として国民の生活は益々貧しくなるので

はないだろうか。

「働ける人は上限など気にせず働いて多くの所得を貰って納税する。働くことが

困難な人には、納税されたお金を財源として支援する」ことが一番自然であり、

国民の多くの生活が豊かになる秘訣ではなかろうか。

 

だいたいこの壁は、昭和の古き良き時代の一般的なモデルである「お父さんが会社

で働いて専業主婦のお母さんがパートに出る」といった概念から成り立っている。

その概念を令和のこのご時世に当てはめようとすること自体無理がある。生き方も

働き方も多様化している今を生きている人たちを大昔の概念に当てはめてもミスマ

ッチしか起きない。

 

一方で、「扶養という考え方があるから少子化を防ぐことができている」という人が

いたりするが、その意見もまた時代錯誤のミスマッチである。

扶養は、例えば子供や重篤な疾患をかかえていて就労することが難しい人を対象と

するものであって、子育てをしている人に当てはめるべきものではない。

今は、「仕事も子育ても両立できるのであればそうしたい」と考えている人がとても

多くいる。しかし「両立に寛容ではない社会の仕組みがあるため、どちらかを選ば

ざるを得ない」として、仕事か出産のどちらかを諦めてしまう人が多くいる。

取組べきことは「壁云々」ではなく「両立に寛容な社会づくり」であろう。

 

当ブログで何度か話題にしていることではあるが、両立に寛容ではない社会の仕組

みの代表的なものが「夫婦同姓と年収の壁」があると私は考えている。

古き良き時代から抜け出せず今を生きていない政治家や官僚は、「明らかに就労が

困難な子供や障がい者、高齢者」と「両立に寛容であれば就労が可能な学生や子育

て世代」、「適切な支援があれば就労が可能なハンディキャップを持った人や高齢者」

を全て一緒くたに扱っている。

 

こんなひとたちがどれだけ議論しても、少子化対策も労働力不足も解消すること

は困難を極めるとしか言えない。

年齢性別を問わず、「今を生きている人」を国政に送り出す必要がある。

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