私はこれまで繰り返し、明確な根拠も示さずに『安全・安心』を連呼する人を痛烈
に批判し、ケアプラン上にも明確な根拠のない『安全に、安心して』の言葉を連呼
するケアマネージャーを”無能”と蔑んできた。
そもそも『安全・安心』は、主観でしかなく人それぞれ感じ方は様々だ。また、同
じ人物であっても状況が変わればその指標は大きく変わる。
つまり、『安全・安心』は非常に曖昧な言葉でしかなく、言い換えれば中身のない
言葉ということである。
「中身はともかく、皆で頑張るから安心して」と言われて心の底から不安が解消さ
れる人などいるのだろうか。
さらに言えば、『安全・安心』はサービス等の提供を受ける側が感じることであって
提供する側が受ける側に押し付けがましく伝える言葉ではない。
それなのに企業等の広告にこの言葉が繰り返し使われている。
本来は「あなた(達)が抱えている〇〇という不安を○○という方法で解消(緩和)
します」と表現することが正解であろう。
しかし残念ながら、『安全・安心』を連呼する人の多くは、相手がどのような不安を
抱えているのか、そしてその不安をどのような方法を用いることで解消することが
できるのかを理解(把握)できていない。
だから、曖昧な言葉を使ってごまかすのである。
先月、政府が閣議決定した新たな総合経済対策の表題を見てため息が出た。
その表題は「国民の安心・安全と持続的な成長に向けた総合経済対策」である。
これは中身を見なくても、内容の無い政策であることが予想できてはいたが、一応
目を通してみた。すると案の定、場当たり的な給付とお得意の環境や体制整備が
ずらりと並んだ内容など全くないものであった。
皆さんも『安全・安心』を連呼する人や企業に是非注目していただきたい。