北海道江別市でケアプランセンター、小規模多機能ホーム、デイサービス、訪問介護施設を運営するみのりの丘グループ

みのりの丘

みのりの丘代表ブログ

弱肉強食の真っ只中

2025.1.17

東京商工リサーチによると、昨年1年間の介護事業者の倒産件数は、172件で

過去最多を大幅に更新したらしい。

この倒産や廃業の増加は、介護報酬改定における基本報酬引き下げの影響により

事業経営が難しくなってきていることが影響していると思われる。

ただし、事業者の数を見てみると、倒産件数が最も多かった訪問介護事業者数は

右肩上がりで増え続けている。

 

 

つまり、倒産件数は増え続けているがそれ以上に新規開業件数が増えているという

ことになる。

ではなぜ倒産件数が増え続けているのだろうか。

 

昨年倒産した事業者(法人)のうち、資本金1千万円未満が約9割で、職員10人

未満が8割以上と、多くが零細事業者となっている。

このことからわかる通り、”弱肉強食”が加速度的に進んでいるということだろう。

 

そして、さらにその状況を加速させているのは「介護職員等処遇改善加算」の存在

ではないかと思われる。

ただでさえ資金力がないのに、同加算の算定によって介護報酬アップを図ることが

できなければ、事業運営にかかる資金繰りが難しくなるだけではなく、人材確保に

かかる価格競争(給与)で競り負けてしまう。

こうして、事業所間の競争が激化して、スタッフの高齢化と相まって、必要人員を

確保できない事業所が淘汰されていくことになる。

 

ではなぜ、零細といわれる事業者も積極的に「介護職員等処遇改善加算」を算定し

ようとしないのだろうかと疑問を持つ方もいるかもしれない。

それは、「算定したくてもできない」ということが実情だろう。

 

同加算の算定要件は、介護職員の賃金改善や職場環境の整備が必須となっており、

さらには、資質向上に向けた研修の実施、育児と仕事の両立や休業制度の充実を

図る、スタッフに対するヘルスケアの促進、生産性向上にかかる役割分担の明確化

やICT・介護ロボット等の導入などが求められている。

 

どれをとっても、手間とお金がかかる内容ばかりだ。

つまり、国が同加算を創設した際の本音は、「手間とお金をかけることができない

事業者はどうぞ潰れてください」といったところだろう。

 

 

日本の多くの業界に共通していることではあるが、介護事業者も同様で、中小零細

事業者の数がとても多い。そして今年はさらに事業者間の二極化が進み、介護業界

の再編成が加速することが予測される。

おそらくは、これまで以上に経営者の資質が問われる時代となってくると思われる

ため、とても身が引き締まる。

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