北海道江別市でケアプランセンター、小規模多機能ホーム、デイサービス、訪問介護施設を運営するみのりの丘グループ

みのりの丘

みのりの丘代表ブログ

並んだ順から必要性の高い順へ

2025.2.4

ここ最近、訪問介護(ヘルパー)事業所に新規の利用者調整をしようとすると

「今、空きが無いので受け入れられない」と言われることが増えてきたと感じる。

調整しておきながら言うのもなんだが、それはそうだろうと思う。

 

現状は、訪問介護事業所のスタッフは増えていない。事業所によっては減る一方と

言うところも少なからずある。それに引き着替え、ご利用を希望する方は増える一

方なのである。

つまり、需要過多で供給が圧倒的に不足している状況ということだ。

 

訪問介護のように在宅系の介護保険サービスは、原則として「利用者を選ぶ」こと

は許されていない。

「公的社会保険サービスにあっては、事業者が恣意的にご利用者を選別することは

許されない」という考え方に異論をはさむ余地はないだろう。

ただし、今ある現状を踏まえた場合にこの考え方を押し通すことには多いに疑問を

感じている。

 

なぜなら、事業者は当該ご利用者の緊急性や必要性の高低にかかわらず並んだ順に

対応することを求められる。たとえ長蛇の列ができていたとしてもだ。

さらに言えば、緊急性や必要性が比較的低い方が先に並んでいて席が埋まってしま

えば、そのあとに来た緊急性が高く、訪問介護の援助を受けなければ生活や生命の

危機に陥るとしても席が空くことを待たなければならない、所謂”席取合戦”の様相

を呈している。

 

現行の制度では、たとえ緊急性や必要性が低いからといって席を譲る義務はないし

当然の権利として介護サービスが利用できることが保障されている。同サービスの

利用を希望する方には何の落ち度もないし、順番に対応する事業者も同様だ。

 

それでも江別市内の訪問介護事業者の中には、緊急性や必要性が高いと判断して、

事業所内の創意工夫を行って(はっきり言ってかなり無理して)、何とか受け入れ

ようと試みているところが少なくない。(本当に頭が下がる思いだ)

ただし、このような事業者の情意情熱に頼りっぱなしで、同スタッフに過度な負担

をかけ続けることが正解なのだろうか。

 

同じ介護保険制度の中でも特別養護老人ホームは、その社会性や公益性そして数に

限りがあることなどの理由で”並んだ順”を撤廃して、複数の評価項目から緊急性や

必要性が判断されて順番が変動する方式が導入された。さらに現在は原則「要介護

3」以上の方でなければ申し込み自体ができないように変更された。

 

今や在宅系の介護保険サービスも”数に限りがある”状況になってきている。

平等の名のもとに、重度要援護者を切り捨てることは絶対にあってはならない。

全ての介護保険サービスが”並んだ順から必要性の高い順へ”変更する時が来ている

ように思えてならない。

 

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