気が付けばもう2月の中旬が過ぎて、3月に入ろうかという時期に入っている。
私はというと、この時期は株式会社の年度末決算処理を終えて、NPO法人の年度末
決算に取り掛かるところである。
つまり、まあまあ忙しくしている。
久しぶりとなる当ブログに何を書こうかと思い悩んでいたら、
『介護福祉士国家試験の受験者数が4年ぶりに増加』との記事を目にした。
ここのところ減少の一途を辿っていた受験者数が微増であっても増えたことは業界
に身を置く者として大変喜ばしいことである。
過去を振り返ってみると介護福祉士国家試験の受験者が前年から半数に激減した年
があった。それが業界で話題となった『介護福祉士2016年問題』のことだ。
元来、介護福祉士国家試験を受験するためには、養成施設等を卒業するか、介護の
現場で実務経験を3年以上積む必要があったのだが、後者の要件を満たしたことを
持って受験する方が多くいた。
それが、2016年度の同国家試験の受験要件から、介護現場の3年の実務経験に
加えて「実務者研修の修了」が求められることに変更された。そしてその研修の受
講時間は450時間(320時間に短縮される場合もある)もあり、実務に就きな
がらこの研修を修了することは難しい方が続出して受験者数が激減した。
こうした状況から同国家試験の受験者数を増やす目的で「実務者研修の修了」を
要件から外すべきだと言う議論が起きた。
受験者数を増やそうと思えば、そういった考え方には一理あるが、私はそもそも
国家試験の受験要件に「実務経験○○年」があることに違和感がある。
介護現場における実務経験といっても、所属する法人(会社)の理念や運営方針、
配属された事業所の種別や規模によって大きく異なってくる。そんな大きく異なる
”経験”を一つの指標として国家試験の受験要件としていることがどうかしている。
特に我が国の特徴である介護サービス事業者の大多数が小規模零細事業者なので
しっかりとした研修システムが構築されている事業所の方が圧倒的に少なく、未だ
に「先輩の背中を見て覚えろ」的な事業者も少なくない。
介護業界に身を置く者の共通の願いは、「介護福祉士の人数を増やす」ことで間違い
はないのだが、この国家資格を簡単に受験できるあまりに安っぽいものにしてしま
うと、給与所得も安く扱われてしまうのではないだろうか。