最近、地域で長年活動してきたボランティア団体や任意の互助活動団体、それから
自治会の方と話をする機会が多くあったのだが、多くの方が共通しておっしゃって
いたことは「活動メンバーの高齢化が進み、世代交代もうまくいかず、活動の継続
や存続の危機に瀕している」といった内容だった。
この話だけを聞くと、今の若い世代の多くがボランタリーな活動や自治活動に興味
を持っていないのではないかと連想させるが、果たしてそうなのだろうか。
私が日々かかわりを持っている20代の方々に話を聞くと、決してボランタリーな
活動や自治活動に興味を持っていないわけではないようだ。ただし同時に聞こえて
くる声としては「年配者とかかわりを持つ接点がなく、どのように接したらよいの
かがわからない」とか「価値観の違いを理解してもらえず、閉塞感を覚える」など
があった。
そこで私が思うこととしては、「ボランタリーな活動や自治活動の世代間の継承には
一定のルールや理念を共有したとしても、必ずしも同一の考えや同一の価値観を
備える必要はない」ということである。
言い換えると、世代交代が上手くいっていない原因のひとつは、考えや価値観を
強く押し付けすぎたからではないのだろうか。
時代が変わると生活様式や思考、価値観、優先されるべき事項が大きく異なること
がある。そしてそのことによって、ルールが変更されることもある。
古き良き伝統や歴史を重んじる方からは、「古くから続いた伝統は、時代の変化と
いう言葉で安易に変更するべきではない」との声が聞こえてきそうであるが、その
考え方は共すると「優先されるべきは伝統や歴史であって人々の生活ではない」と
言うことにつながってしまうのではないかと思う。
何も伝統や歴史を軽んじるつもりはないし、まして否定するなどと言うことはない
が、人々の生活あっての伝統や歴史という基本に立ち戻る必要があると感じる場面
が非常に多くあるようにも思える。
「昔はよかった」とか「昔からこうしていた」一辺倒では世代間の継承は上手く
いかない気がする。