先週開催された、今後の介護保険制度の改正を話し合う審議会では人材確保という
最大の課題を取り上げ、”賃上げ”の要望が関係団体から挙がっていた。
この手の話し合いは、ここ十数年毎度のこととなっているわけだが、私としては
公的価格である介護報酬の設定にはもう限界があるのではないかと感じている。
物価の高騰や他業種の賃上げに遅れをとっていることによる人材流出を防ぐことが
急務であることから、介護報酬の引き上げを要望することに間違いはないのだが、
社会保険の財源となる生産年齢人口が減り続け、要援護者となる高齢者が増え続け
ている昨今、介護報酬引き上げには限界があるだろう。(もう既に限界に達している
かもしれない)
明日の人材、収入を思うと「介護報酬引き上げ」を連呼する気持ちは理解できない
わけではないが、将来の高齢者介護業界を思うとそれは”馬鹿の一つ覚え”にしかな
らないように思える。
前回のブログでも訴えたが、高齢者介護業界は国の鎖国政策と補助金地獄によって
主体性を失い、従うのみの状況が長く続いた結果、思考停止してしまっている。
そのため、口から出るのは「介護報酬引き上げ」しかなくなってきている。
そこには創意工夫や新たな発見は生まれず、競争力も生存能力も地に落ちる。
この言葉を連呼するほどに、賃上げに限らず他業種に遅れをとり続けるのではない
だろうか。
これから先、強く訴えるべきことは「公的な介護報酬以外の収入源の確保」であり
そのために必要な規制の緩和ではなかろうか。
事実、我々は日常的に介護報酬外の業務を行っている。そしてその業務は”おもてな
し”や”心遣い”の名の下で、無償でサービス提供を強いられている。
こうした行為を報酬に変えることは至極健全であり、当たり前のことである。
高齢者介護業界の関係者は思考停止状態を解除して、”馬鹿の一つ覚え”を少しトーン
ダウンさせてでも”必要な規制の緩和”を強く訴えたほうが良いと思う。