先日の財務省の財政制度等審議会で政府へ提出された提言で、介護分野について
「居宅介護支援のケアマネジメントにも利用者負担を導入すべき、2割負担の対象
者の範囲を早急に拡大すべき」、「要介護1,2の訪問介護・通所介護を市町村の事
業へ移管するべき」、「今後の生産年齢人口の減少を踏まえ、介護分野にばかり人材
が集中するのは適切でない。処遇改善のみで新たな人材を求めるのではなく、生産
性の向上や職場環境の整備などに取り組む事業者が、選ばれていくことが重要」と
の見解が示された。
これらの提言は、私も当ブログでその必要性を繰り返し訴えてきた。
別段、私は財務省の回し者でも何でもないが、非現実的な夢物語を排除して現状を
見ていれば誰もがこのような結論になるのではないかと考えている。
しかし同時に、たとえ公的制度の対象から外れたとしても生活ニーズが変わるわけ
ではないので、そのような方々へどのようにして支援の手を届けるのかを考えなけ
ればならないし、事業者側の自助努力だけで達成するわけではない生産性の向上や
職場環境の整備をどのようにして実現するのかも考えなければならない。
役割が違うと言われてしまえばそれまでだが、財務省の提言はここどまりが限界と
いったところだろう。しかし、現場にいる我々としては代替え案も具体的な方策も
なくこの提言のみを受け入れることは難しい。
利用者の負担割合を増やすことについては、「支払い能力がある人にはそれなりに
払ってもらった方が良い」とは思うのだが、同時に貧困救済も合わせて検討しなけ
ればならない。その場合には対象は高齢者に限ったことではないだろう。
軽度要援護者を市町村へ移管することについては、「そのとおり」とは思うのだが、
移管された先の介護サービスの運営基準や人員基準が今までと変わらない内容で
あれば、財源の抑制にも人材不足の対策にもならない。
思い切った基準の緩和を考える必要があるだろう。
高齢者介護分野の人材確保については、「介護報酬による基本単位や加算の増額ばか
りに頼らず自助努力をもっと行うべき」とは思うのだが、介護報酬以外の財源が
ほとんどない中では収入の安定化は測れないし、自助努力と言っても特に生産性の
向上は一企業一事業所の努力だけではどうすこともできないことが多すぎる。
これについてもやはり、思い切った基準の緩和を考える必要があるだろう。
大事な部分の手綱を緩めろとは言わないが、コントロールしようとするあまりに
規制でがんじがらめにすると改善どころか悪化の一途を辿ることになる。