北海道江別市でケアプランセンター、小規模多機能ホーム、デイサービス、訪問介護施設を運営するみのりの丘グループ

みのりの丘

みのりの丘代表ブログ

黒子に徹することを覚えたほうがいい

2025.6.5

どうやら医師や看護師を中心とした医療職は、医療の分野だけではなく介護の分野

においても「自分達が中心あるいは頂点にいる」という状況を誇示したいらしい。

 

先日、市内の医療機関からDXを活用したご利用者の情報連携にかかる取組の提案を

受けたのだが、「利便性において双方にメリットがある」とは名ばかりで、こちらに

一方的に負担を強いる内容となっていたことに愕然とした。

 

さらには、システム導入にあたって、我々に対して情報漏洩に関する誓約書の記載

を求めるという内容も含まれていた。

この誓約書は、就職した際に属する企業から求められる類のものだ。当該医療機関

は、法人格の違う我々のことを自分達の付属機関か何かと勘違いしているのではな

いだろうか。

当方は、ご利用者やご家族との間で個人情報使用にかかる同意を書面でいただいて

おり、スタッフとの雇用契約に際して情報漏洩にかかる誓約書を取り交わしている

ため、他所から改めて誓約を求められる筋合いはない。

 

ただ残念ながら、「治療が必要となれば診てもらわなければならないし、ご利用者を

紹介してもらうこともあるから」という打算から、こうした上から目線の無礼で

不平等な契約を承諾する事業者もいることだろう。

他の事業者がどのような契約を結ぶのかは、こちらの知るところではないのだが、

高齢者介護の分野において、医師や看護師を中心とした医療職が中心あるいは頂点

にいる状況は非常に危険であると考えている。

 

彼らの主な目的が「病気を診る」ことに対して、我々の主な目的は「生活を支える」

ことにある。「生活を支える」目的を達成する上で、「病気を診る」という手段が

必要となることは十分にあり得るのだが、あくまでも手段の一つにしか過ぎない。

ところが、彼らの手にかかると本来の目的である「生活を支える」ことがどこかへ

行ってしまい、「病気を診る」ことそのものが目的化してしまう。

その結果、ご利用者がこれまでの人生で大切にしてきた思考や習慣を度返しして、

苦行とも思える疾病管理やゴールの無いリハビリを延々と受け続けることを強要

されてしまう。

 

人は誰しも加齢とともに衰えが生じてくるが、こうした状況に対して医療は万能で

はない。また、その人らしい生活を支える上で医療が最優先事項にはならないこと

も決して少なくない。

 

ところが、彼らを中心に据えると、介護予防や科学的介護、日本慢性期医療協会が

提唱する医療介護一体型のケアプランニングという何とも貧相な発想に行き着くの

である。

その人の人生における主役は当然その人自身である。我々はその人生や生活を支え

る裏方でしかない。彼らは身の丈に合った謙虚さと黒子に徹するということを少し

覚えたほうがいい。

最近の投稿