北海道江別市でケアプランセンター、小規模多機能ホーム、デイサービス、訪問介護施設を運営するみのりの丘グループ

みのりの丘

みのりの丘代表ブログ

薄利多売を助長する主張

2025.6.11

毎度のことと半ばあきらめてはいるのだが、

3年に1度見直しが行われる『介護報酬改定』が近づくと、決まって学者や評論家

気取りの連中が好き勝手なことを言ってることが気に障って仕方がない。

 

彼らは、何かことが起きると直接的な死活問題に発展する我々とは違って、現場が

どうなろうと影響を受けない安全な場所から、高みの見物をしながら、我々の味方

あるいは正義の味方面して万人受けしそうな能書きを垂れるのである。

彼らが決まって言うことは、「利用者の負担は増やさず、サービスの量も減らさず、

その上で介護報酬を上げろ」である。

ちょっと見識のある現場の者であれば、こうした主張を続けることで将来の自分達

にどのような悪影響が及ぶのかを知っている。

 

今は、そしてこれからは更に「人も金も足りないんだ」と改めて強く言っておく。

要介護度で単純に区分できる話ではないし誤解を生む危険性もあるが、あえてその

ことを承知の上で申し上げると、現場の者たちは「高い専門性が求められていない

生活ニーズを多く抱える要支援等の軽度者の対応に追われるあまり、より専門性の

高い生活ニーズを抱える重度要介護者の対応に手が回らない」ことを嘆いている。

そして、「専門職ではなくてもできる仕事を多く抱える”何でも屋扱い”をされるので

地位も向上しないし、おのずと所得も上がらない」と嘆くのである。

 

私が毛嫌いする連中の主張は、「人も金も潤沢にある」状況でなければ実現しないし

そういった状況であれば、その手の輩が騒がなくても実現している。さらに言えば

この連中の主張は、薄利多売を助長し我々の嘆きをさらに悪化させる結果を生む。

 

援助の必要性が高い方に手が回らなくなれば、要援護者は「介護保険制度なんて

頼りにならない」と三下り半を突き付けるであろうし、高いスキルを持つ専門職は

「この仕事にやりがいを見出せない」と現場から身を引くことであろう。

そうなると、介護保険制度は、精神論と奉仕の心に訴えかけるだけの陳腐な扱いを

受けて、体裁を保つことも一定の所得を生むこともなくなってしまうだろう。

あえてもう一度言うが「今は、そしてこれからは更に人も金も足りないんだ」

 

高齢者介護の分野で働く人だって生活者だ。

現状を維持したうえで介護報酬を上げたところで、雀の涙ほどの昇給を大きく上回

る納税や社会保険料の負担増で生活が苦しくなる一方だろう。

こうした状況がさらに悪化していけば、「私の方が支援してもらいたい」と言い出す

人が増えても不思議ではない。

 

介護保険制度の重要な理念の一つである『介護予防』って、公費でそして専門職を

潤沢にそろえて行わなければならないことなのだろうか。

例えば、我々が独立開業してからの15年間(新型コロナウイルス感染症の影響で

休眠した期間はあるが)欠かさず続けてきた介護保険外の自主活動には20~30

名の参加者がいらっしゃるのだが、中には要介護認定を受けている方もいるし、

その状態に準ずる方も多くいらっしゃる。そしてその活動は基本的に1、2名の

スタッフで対応している。さらに言えば、その活動は参加者から頂戴している年会

費で賄っている。

 

私の考えとしては、公費で対応すべき生活ニーズへの支援は、より一層絞り込み

公費外の手数を増やしていくべきであろうと思う。

そして、マ〇ケな主張を繰り返す学者や評論家気取りの連中に対しては、「応援して

くれなくていいから邪魔だけはしないで」、「少し口閉じてろ」と言いたい。

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