先の参議院議員選挙で、自民党から比例代表で立候補した全国介護事業者連盟の
理事長の斉藤正行氏が落選となった。
議席を獲得できなかったことを受けて、斉藤氏は「この結果はすべて私の責任。
多くの介護関係者に思いを届けられなかった。与党への強い逆風が吹いていたこと
は敗因ではない」と語ったそうだ。
当ブログではこの方の発言について再三疑問を呈してきており、「同団体の代表者
は、コンサルティング会社社長として立派な経歴をお持ちなのかもしれないが、
十分に介護事業者の意向を汲み取っていないのに総意であるかのように語るのは
いかがなものか。」と申し上げたこともある。奇しくもご本人がいうとおり、介護
関係者には思いは届いていないし、もっと言えば思いは合致していない。
介護現場にいる我々と大きく乖離した考え方を持つ人が、我々の業界の代表として
国政にでることは非常危険だと思うので、選挙戦を必死に戦ったであろうご本人や
関係者の方々には大変申し訳ないが、今回落選していただいて安堵している。
何度も申し上げていることだが「利用者の負担は増やさず、サービスの量も減らさ
ず、その上で介護報酬を上げろ」という主張は、将来の自分達にどのような悪影響
が及ぶのかわかりきっている。
この手の主張は、「人も金も潤沢にある」状況でなければ実現しないし、そういった
状況であれば、誰かが主張しなくても実現している。
今考えなければならないことは、「人も金も足りていない」状況の中で、いかに公的
社会保険サービスを有効かつ効率的にそして永続的に運用していくのかであろう。
援助の必要性が高い方に対し、限られた人数の高いスキルを持つ専門職がかかわり
限られた財源の多くを投入する仕組みを考え直すべきである。
そうしないと、介護保険制度は、精神論と奉仕の心に訴えかけるだけの陳腐な扱い
を受けて、体裁を保つことも一定の所得を生むこともなくなってしまうだろう。
あくまでも個人的な意見ではあるが、
このことが理解できない、あるいは主張できない人に我々の代表として国政に出て
ほしくない。
