北海道江別市でケアプランセンター、小規模多機能ホーム、デイサービス、訪問介護施設を運営するみのりの丘グループ

みのりの丘

みのりの丘代表ブログ

丸投げではなく法整備を急いで

2025.9.19

国勢調査の結果によると、2020 年時点の50歳時未婚率は男性が28.3%、女性

が17.8%で、この20年で大幅に増加してきており、今後益々増加傾向にあるとの

ことらしい。また、未婚率の上昇に加え、子がいない夫婦の割合もやや増加傾向に

あり、将来は子がいない高齢者が急増することが見込まれる。

 

現状、病院で入院治療を受けることになったり、施設へ入所することになると当該

病院(施設)から身元保証人の署名を求められることがほとんどである。

そのため、身近に親族がいないご利用者を担当するケアマネジャーが上記の状況に

直面した場合には、甥姪や遠い親戚に連絡をとってなんとか保証人になってもらう

等の調整に奔走することが多くある。

そして、今後益々こういった状況が増えてくると言うことである。

 

ただし、介護保険施設に関する法令上は身元保証人等を求める規定はなく、各施設

の基準省令においても、正当な理由なくサービスの提供を拒否することはできず、

国からは「入院・入所希望者に身元保証人等がいないことは、サービス提供を拒否

する正当な理由には該当しない」と通知されている。

 

ではなぜ、多くの病院(施設)は身元保証人の署名を求めるのか。

正直に言って、介護保険サービス事業を運営している私も病院(施設)の気持ちは

よくわかる。何かしらの手続きや判断が必要になった時に、その担い手となるはず

の家族や親族がいないとなると「誰がどこまで担い手として動くのか」という問題

が発生する。

 

そういった場合に備えて、成年後見制度等手立てが全くないわけではないのだが、

それらの制度とて万能ではない。

その一つは、以前にもブログで紹介した『医療侵襲(しんしゅう)行為の同意』に

ついてである。

 

医療行為としての侵襲とは、手術などによって体を切ったり、薬剤投与によって

体になんらかの変化をもたらす行為などを指す。

一般的には、生命維持の危機を回避するために体に何らかのダメージを与える危険

を伴う治療が施されるため、例外はあるものの本人の同意に基づくことが原則と

なる。

そのため、認知症状などによって同意に必要な判断能力が十分にはなく、本人の

代弁者となる家族がいない場合には、必要な医療行為が受けられなくなる場合が

発生してしまう。

 

私も、担当していた身寄りのいない認知症状が重度化していたご利用者が入院

して、医療処置が必要となったときに医療機関から同意できる人を用意するように

求められ非常に困ったことがある。

 

その方は、市長申し立てによる成年後見制度を利用しており、家庭裁判所から指名

を受けた弁護士である『後見人』がついていたが、法的に同人には同意権がない。

その件を行政に相談してみても「行政が医療機関に対して医療行為の実施の有無に

ついて介入することは難しい」との返答しか得られず途方に暮れた。

 

結局、法的拘束力を全く持たない私が『見とどけ人』のような位置づけでしかない

ことを前提として同意し、必要な医療処置を実施していただくことになった。

当然このことは、行政にも後見人にも事前相談と事後報告を行ったが、『綱渡り』

としか言いようがない対応のやり方である。

今後はそういった親族のいない人も増える見通しであることから、こういった問題

に対する法整備が急がれるところである。

 

あくまでも私見ではあるが、医療侵襲(しんしゅう)行為の同意については、

本人があらかじめ指名した代理人を準備することができれば、法執行機関の管理

監督の下で同人に同意権を認めることが妥当のように思う。

そして、本人があらかじめ指名した代理人の準備が整う前に事が発生した場合には

倫理委員会などの客観的第三者の管理監督の下で医師の判断に委ねることが妥当の

ように思う。

 

国は「入院・入所希望者に身元保証人等がいないことは、サービス提供を拒否する

正当な理由には該当しない」などと通知して、病院や施設等にその責任を丸投げ

するのではなく、しっかりと丁寧にただし迅速に法整備を進めていくべきだろう。

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