北海道江別市でケアプランセンター、小規模多機能ホーム、デイサービス、訪問介護施設を運営するみのりの丘グループ

みのりの丘

みのりの丘代表ブログ

真のリハビリテーション(その1)

2025.10.1

長年この仕事をしていて、ご利用者やご家族からよく受ける要望の中に「もっと

リハビリを受けさせてほしい」という内容がある。

 

年齢を重ね介護が必要な状態になったとしても、日常生活に必要な動作を確保する

上で、”身体機能の維持や向上”は誰もが願うことである。

そして、その”維持や向上”に最も効果的と考えられている手段が「リハビリ」と

多くの人が認識している。

 

しかしこの認識は、間違ってはいないが正しくもない。

リハビリとは何かと専門職に問えば、「正式にはリハビリテーションと呼ばれており

ケガ・病気・加齢などで日常生活に制限が生じた方が自分らしい生活を取り戻す

ために行う訓練です」と答える。つまり、ここで言うリハビリテーションとは

対象者に対して訓練を行うというアプローチを前提としている。そして、多くの人

も同様の認識を持っていることだろうと思う。

 

勿論リハビリテーションには、そのような要素が含まれている。

しかし、WHO(世界保健機関)では、リハビリテーションを「障害者が環境に

適応するための訓練を行うばかりでなく、障害者の社会的統合を促す全体として

環境や社会に手を加えることも目的とする」とも定義している。

 

つまり、リハビリテーションとは身体機能の維持や向上を目指すばかりではなく、

「低下していくあるいは失われた心身の機能は取り戻すことができない」ことを

前提として、社会生活を不自由なく過ごすことができるように手立てすることも

含まれているということだ。

 

それでは、「低下していくあるいは失われた心身の機能は取り戻すことができない」

とはどういった状態のことを指すのだろうか。

例えば、脳血管疾患の後遺症によって体の一部が麻痺して、リハビリテーションを

含めた治療を施行したが、それでも麻痺が残って回復の見込みがないと診断された

場合には、発症前と同様に体を動かすことは難しいとなる。

また、明らかな病変ではなく、老化によって身体機能が低下している場合にも、

低下する以前と同様に体を動かすことは難しくなる。

 

前述のご利用者やご家族からよく受ける「もっとリハビリを受けさせてほしい」と

いう要望の中には、「低下していくあるいは失われた心身の機能は取り戻すことが

できない」という前提条件が含まれていないことがほとんどだ。

そのため、「リハビリを受けたり運動をしていれば、元気だったころに戻ることが

できる」とか「今までの体の状態を維持することができる」と盲信している人が

多くいるので、要望と現実の間でミスマッチが起きてしまうことがしばしばある。

 

残念ながら、人間は病気やケガを伴わない加齢による心身の機能低下に抗うことは

できず、今の医学をもってしても高齢者の心身機能の維持向上は至難の業である。

恐らくできることは、「機能低下の速度を緩やかにする」ことが限界であろう。

 

さらに言えば、回復の見込みがないとされている部位に対して、明確な根拠も適切

なアプローチもなくリハビリテーションという名の訓練を継続することは、場合に

よっては苦行であり拷問に近い行為となり得る。そしてその対象者のメンタルに

悪影響を及ぼす危険性を持っている。

それは、「いくらやっても全く良くならない」との思いから「もう何をやってもダメ

だ」との思いに至り、生活意欲が著しく減退し同時に身体機能も急速に低下して

いく危険性のことを指している。

そうなってしまうと、麻痺をしていない体の他の部位や低下しつつも機能している

部位のことも含めて自分を全否定してしまう状態に陥ることが多くある。

 

ここまで書き並べると「高齢者にリハビリを施すことは無駄だと言うのか」「高齢者

は黙って老いて行けと言うのか」との怒りの声が聞こえてきそうであるが、私が

申し上げたいことはそういうことではない。

 

少し長くなってしまったので続きは次回に持ち越そう。

最近の投稿