厚生労働省は、本日に開催予定の「社会保障審議会介護保険部会」において、次期
介護保険制度改定(2027年度)に向けた論点として、介護保険制度の持続可能
性をどう確保していくべきかについて、”ケアマネジャーの資格取得要件の見直し”
と”ケアマネジャーの更新制・法定研修の見直し”を俎上に載せるようだ。
この資格更新研修については、「膨大な時間と決して安くはない受講料を浪費する
だけの中身のない研修で、高齢者介護にかかわる資格の中で唯一更新制が義務付け
られている理由が全く見当たらない。この研修は、官僚や一部の人の利権利得の
ためだけに存在していると言わざるを得ない。」と繰り返し訴えてきた。
昨年、この研修を受講したのだが、お世辞にも素晴らしいとはいいがたかった。
その内容は、講師がテキストを読み上げるだけのe-ラーニングを計24時間聞き、
Zoomによる受講者任せの事例検討が計21時間といったものだった。
膨大な時間と決して安くはない受講料を浪費するだけの中身のない研修が延々と
垂れ流されており、特段真新しい情報も学びもなく、ちょっと馬鹿にされている
感覚を持った。この程度の内容なら、自前で十分に実践できている。
私としては、今回の提案について「厚労省もやっと重い腰を上げたか」と安堵して
いるところであるが、最終的に中身が決まるまではまだ油断はできない。
それは、提案内容を見るとよくわかる。示された内容によると「更新制は廃止する」
と言いつつも「定期的な研修の受講を行うことを求める」とあるからだ。
この「求める」がどの程度の強制力を持つのかはこれから議論されていくことだろ
うと思うが、”ほぼ強制”ということであれば今と何一つ変わらないことになる。
見出しを変えて中身を変えない官僚がよく使う手だ。
ただでさえケアマネジャー不足がささやかれている状況の中で、官僚が今まで以上
にケアマネジャーを馬鹿にするような態度を示せば、本当にこの職種は消えてなく
なることになるだろうと予測する。
また、ケアマネジャー不足を解消する手段の一つとして同時に提案された”ケアマネ
ジャーの資格取得要件の見直し”についても大いに疑問が残る。示された内容による
と「ケアマネジャーの役割との整合性を考慮し、業務として直接的な対人援助を
行うなど、~中略~、ケアマネジャーとして従事する上で必要となる知識を学んで
いるかといった点に着目し、診療放射線技師、臨床検査技師、臨床工学技士・・・
について、新たに受験資格として認めることとしてはどうか」とある。
診療放射線技師、臨床検査技師、臨床工学技士は文字通り、”技術屋”である。私は、
30年以上医療や介護業界に身を置いているが、これらの職種が業として対人援助
を行っている姿を一度も見たことがない。
別段、この職種に非があるわけではない。そもそも、対人援助の役割を求められて
いないだけのことだ。
もしも、こんな無茶苦茶な提案を通して、「ケアマネジャーの対人援助技術が未熟」
などと突っ込みを入れようものなら、「自分で蒔いた種だろ」と突っ込み返しをして
やりたくなる。
こんな提案をしてくるボンクラには、「今一度、対人援助とは何かを学んで来い」と
言ってやりたくなる。
