ここのところ、特別養護老人ホームや老人保健施設の3割以上の施設が赤字計上で
厳しい経営状況に追い込まれていることが話題として取り上げられている。
その要因として挙げられているのは、物価や人件費、水道光熱費の高騰に公定価格
が対応しきれていないことだ。加えて、介護報酬改定では、収益費が比較的大きい
サービス種別の報酬を抑制する傾向にあり、上記施設はそのあおりを受けた側面も
ある。また、地域特性も大きく影響しており、過疎地域では人材確保や集客が難し
く、事業運営の継続が非常に厳しいという現実もある。
ただし、業界内でよくある会話を聞いていると、上記が本質的な赤字の要因なのか
と首をかしげたくなることがしばしばある。
例えば、介護報酬には本体価格となる基本報酬と一定の要件を満たした場合に算定
することができる加算報酬がある。さらに、「介護分野の職員の賃上げ・職場環境
改善支援事業の補助金」のように補正予算を組んで臨時対応による報酬の改善策が
講じられることがある。
予てから私は”加算報酬”の存在については否定的な考えを持っており、今もその
考えに変わりはないのだが、現行制度において事業運営の安定化とスタッフの賃金
改善を図るためには、要件を満たしている加算等を算定することは当然のことと
思っている。
ところが、要件を満たしていても加算を算定していない施設が少なくなく、ひどい
場合には加算の算定要件を理解していなかったり、補助金の情報を得ていなかった
りする施設もある。そのような施設に対しては「そりゃ~赤字になるだろうよ」と
言わざるを得ない。
加算の中には、法人や施設の自助努力だけでは算定要件を満たすことが難しい内容
もあるにはあるが、そのほとんどはケアの延長線上にある取り組みを評価する内容
ばかりで決して難易度が高いものではない。
そういった加算を算定することも、算定できるように取組こともしていないような
施設は”怠慢”と評されても仕方がないのではないだろうか。
そんな当たり前のことができない、あるいはやろうとしない施設は潰れても仕方が
ないだろう。物価や人件費、水道光熱費の高騰を隠れ蓑にしようとしても無理が
あるし、そんな施設を守るために介護報酬は改定されるべきではない。
