居宅介護支援事業所に所属する介護支援専門員は、基本的に自身が担当するご利用
者のマネジメント業務を専任するため、同事業所に所属する他の介護支援専門員と
業務を共同で行うことがほとんどない。(無論、例外はあるが・・)
つまり、個人事業に近い業務体系となっている。
こうした特性を生かして、事業所に属しつつもデスクを持たず「完全テレワーク」
を導入する居宅介護支援事業所が近年増えてきている。
事業所に帰還しなくても、オンラインで業務管理ができるし、リモートで合同研修
や面談等を行うこともできる非常に合理的な手法といえる。
そのため、所属する介護支援専門員の中には、ご利用者の居住地からかなり遠方に
居住している人がいたりする。
ただし、この手法には大いに疑問がある。
それは、業務体系が個人事業に近いとはいえ完全な個人事業主の集合体ではなく、
あくまでも組織に属して業務を遂行しているとなると、組織として対応しなければ
ならない事柄にあまりにも脆弱ではないのかと思ってしまう。
居宅介護支援事業所に所属する介護支援専門員は、ご利用者及びご家族の個人宅に
対して単独で関わるため、ひとたびトラブルが起きてしまうと逃げ道が少ない。
さらに言えば、ご利用者は心身が健常ではなく、ご家族も精神的に不安定な状態に
あることが少なくないため、意図せずともトラブルに発展することは大いにある。
そういったこと以外にも、介護支援専門員が個人では対処しきれないことは数えき
れないほど起こりうる。
「完全テレワーク」を導入する居宅介護支援事業所は、そういった事案が発生した
場合、または未然に防ごうとする場合であっても、オンライン上あるいはリモート
で対処するつもりなのだろうか。
もし、そのように対処すると考えているとするなら、「対人援助を舐めきっている」
と言わざるを得ないし、居宅介護支援事業所に所属する介護支援専門員を大切に扱
うという観点も著しく欠けていると感じる。
対人援助は、担い手も受け手もモノや機械ではなく人間だ。
合理性を追求することは大いに結構なことだが、人を大切にできない対人援助など
本末転倒だろう。
